作業日記 2014

32 Muramatsu 14K 頭部管

2014/12/22 5:53 に Yoshio Takamura が投稿   [ 2014/12/22 21:35 に更新しました ]

今回は音大生からのご依頼です。
2年半程前に購入されたムラマツ14KのSRタイプだそうですが、音程、音色感の暗さが気になるということでした。

送られて来た頭部管を吹いてみると、確かに左手がぶら下がって低くなる傾向がみられます。
Pで音程が下がらない様にする方法として、ニコレさんは構える左手の圧力を減らして唇の息穴からエッジまでの距離を取るように、反対にで音程が上ずらない為には左手の圧力を増して下顎に楽器をしっかりと押し付けて、唇の息穴からエッジまでの距離を近づける様に指示されています。
これと同様の事をパユは右手も使って楽器を押したり引いたりすることで行っているようです。
すなわちPでは右手を押して歌口の右コーナーに息を当てる感じで距離を取っています。
何れにしても楽器を前後に回転させるよりはスムーズに安定して見た目にも自然に演奏できると思います。
何故こんな事を長々と説明したかというと、この頭部管ではそのような方法を取ってもコントロールするのが難しいと感じたからです。

これと言って問題になる箇所は見当たらないのですが、やはり台座の内壁のくすみが気になります。
アンダーカットのバランスとエッジのつながりを僅かに手直して、きっちりと磨きました。

これだけでほぼ前述の問題は改善出来ました。
ただ何か音がまとまらずに散る感じが残ります。
エッジに少しずつ手を入れながら試して行くと、少しずつは良くなるのですがイマイチです。
リッププレート上の一部にいつまでも残る水滴の息跡が気になりました。
これは何かのサインだと思い、ルーペで観察すると思い当たる箇所が発見できました。
ちょっとした傷とコーナーに残るペーパー目が悪さをしていた様です。
ピカピカに光った状態の中の僅かな部分だからこそ影響が大きいのかもしれませんが、最初の様な状態が良いとは到底思えません。
ようやく思うような仕上がりになりました。

中々優秀な学生さんの様ですので、更に良い演奏が出来るようお役に立つ事が出来れば幸いです。

31 ヤマハ YFL-281 頭部管

2014/12/16 5:03 に Yoshio Takamura が投稿

少し前に Tuning をさせていただいたお客様から、今度はお孫さんの楽器の Tuning のご用命を承りました。
最近になってフルートを始めたいという事でヤマハの楽器を購入されたそうなのですが、余りに問題があるのでこれでは上達し難いだろうと心配され、頭部管の調整で何とかならないだろうかというご相談でした。

早速送っていただいた楽器を吹いてみると、高音を開き気味で吹き飛ばさないと正しい音程が取れない状態です。
こういう吹き方が身に付いてしまうと刺激的で雑な音しか出せなくなる危険があります。
ただ、今まで手掛けた事のあるヤマハの頭部管とは違う感触でした。
カタログではCYタイプとなっており
どなたにも楽しんでいただけるコントロールのしやすい頭部管です。心地よい吹奏感と明るく豊かな響きが特長です。
と表記されています。

中の造りを見てみると、良くあるきついギザギザの傷はあまり無く、その影響は少なそうでした。
何が原因か・・・計測してみると
ライザーの壁の角度は普通は下に向かって少しずつ広がっているのですがすべてほぼ垂直の状態でした。
むしろ広がり過ぎの歌口が多い中で珍しい状態です。
これなら上の形を触らずに理想的な角度に合わせることができます。
メッキが掛かっているので、その点でもあまり目立たなく都合良く調整ができます。
全部の角度をほぼ狙い通りの角度に合わせ、アンダーカットも少しだけ広げました。
これで満足の行く状態になりました。
低価格の機種とは言え、この位の品質であれば十分に使える楽器になると思います。
フルートを始める人が最初に手にする価格帯の楽器だからこそ、なるべく良い状態で提供したいものです。
初期状態では上手な演奏家を育てるのには良くない影響をもたらす気がします。
折角良い形の歌口なのですから勿体無い気がします。

今回の Tuning で私が狙っている歌口の形状に近づける事で良い状態にできる事を確認できた気がします。

30 POWELL 2本

2014/12/09 17:09 に Yoshio Takamura が投稿   [ 2014/12/09 17:10 に更新しました ]

今回は10Kと銀のパウエル頭部管2本のご依頼です。

演奏時、となりの奏者より音が細く(あくまでパウエルにしてはですが)立ち上がりの悪さ、音の曇りがあり吹き負けてしまいます。
後述の問題のある古い銀管より迫力がない
こちらの方がセカンドの様な感じになり、吹くたびに憂鬱をおぼえます。
抵抗が増しても、歌口が大きくなっても構いませんので、最新のモデルにも負けない、音色は度外視で良いので、バリバリと鳴る頭部管にして欲しい。

上記以外にオールドの頭部管を見て欲しい。

という事で、ちょっと気になる部分もありましたがお引き受けしました。
送られて来た頭部管を吹いてみると、10Kは確かに薄っぺらでつまらない音しか出ない状態でした。
この状態で思い通りの演奏をする事は非常に困難だと感じました。

銀の方は明らかに古いタイプの歌口ですが、10Kに比べるとまだ良い状態でした。


先ずは10Kの中です
何か障害となる不具合は予想しましたが、案の定左上の管の部分に刃物が入り込んだ様な跡が見られます。
ライザーの前の部分で、角度を見ると少し追い込める状態なので整えれば自然に解消できそうです。

ゆがみを修正してアンダーカットを広げて仕上げました。
2回の修正でほぼ満足できる状態になりました。
音の芯という表現をすると少し物足りない気もしますが、吹き込めば応えてくれる様になりました。
音程のコントロールも楽になりました。
これで演奏者の技量に応えてくれる楽器に改善出来たと思います。

次に銀に着手しました。
こちらにも管との境に変な凸凹があります。
その部分とライザーの表面を平滑に仕上げるのみにし、なるべく手を加えない方向で仕上げました。
それだけでもだいぶ良い状態になりました。
こちらの方が音色的にはまとまりのある良い音がします。
こういった作業をしていると、「昔の方が良かった」と思えることが良くあるのですが・・・
どの様に捉えたら良いのでしょうか・・・

29 Muramatsu SR 頭部管

2014/12/07 19:12 に Yoshio Takamura が投稿   [ 2014/12/07 20:23 に更新しました ]

今回は2009年に購入されたムラマツSR7514*番のTuningです。

3オクターブ目の高音全般が吹きにくく、コントロールが難しい。
鳴ることは鳴るのですが、ポイントが狭く細い息でしか鳴らせず、音程も上ずり音がキツくなり痩せてしまう。
中低音の音色はとても気に入っているし、繊細な表現もしやすくオケで使うには非常に良い楽器だと思っています。
メインで使いたいのですが、高音の多い曲では使用するのを躊躇してしまいます。
吹き込んで何年かすると鳴るようになるかと思いましたが、5年たってもあまり変わりません。
私とムラマツの相性が悪いのかもしれませんが…パウエルとサンキョウも持っていますが、ここまで高音が出しにくい事はなかったので、頭部管で改善できるのならお願いしたいです。
*頭部管と関係ないのですがAsの音程が低くなるのは、楽器の性質上、仕方ないのでしょうか?

ということで、送られて来た楽器を吹いてみると・・・
予想していた程高音域が鳴らしづらいという状態ではありませんでしたが、確かに正しい音程でなおかつ美しい音色でというのは難しいと感じました。
それよりも気になったのは中音域の左手の音程がぶら下がってしまい、活き活きとした音色で吹けない状態でした。
ご指摘のAs(Gis)も確かにひどく低く感じます。
この辺が高音域のコントロールのし難さにもつながっていると思います。

目で見た状態はひどく気になる箇所は無いものの、おそらく改善すべきであろうと思われる部分も見つかりました。
中の造りを見てもとても綺麗な形をしているのですが、相変わらず仕上げに何かで擦った様な跡が残っています。
他メーカーのような形の歪みは無いので大きく手を入れる必要はなさそうです。
アンダーカットとエッジの気になる部分に手を入れ、台座の表面も綺麗に磨いて試してみました。
もう少し微調整が必要かと思っていましたが、かなりの改善がみられました。
一番気になった音程については、殆ど意識しないで正しい音程で吹けるようになりました。
As(Gis)も特に気にならなくなった様です。
それに伴い p でも活き活きとした音で吹けるようになった気がします。
高音域もちゃんとコントロール出来るようになりました。

もうしばらく吹いて確認しようと思います。
お客様にも同様の変化を感じて頂ければ嬉しく思います。

28 Burkart 頭部管

2014/11/25 18:44 に Yoshio Takamura が投稿

久々にバーカートの Tuning です。

リッププレートの前面がくっきりと折れ込んだ様になっています。
ヤマハやサンキョウでも同様のタイプがありますが、皆同じ効果を狙って作られたのでしょうか・・・

吹いてみると、一言で表すと「効率の悪い音の出方」といった印象でした。
音程もぶら下がってコントロールが難しく、この楽器を楽に吹きこなす事は難しいと感じました。

造りを見てみますと、歌口の穴の形は割と整っているのですが既にかなり大きなサイズになっています。
ここから満足の行く状態に改善するのは難しい気がしましたが、取り敢えず気になる部分に手を加えて確かめる事にしました。

ひと通り手を入れて簡単に磨いて音を出してみました。
思いの外良い状態に改善されてほぼ良い状態になりました。
音程のぶら下がりが解消されコントロールもし易くなり、倍音も多く乗るようになりました。
反応も良くなりタンギングがし難いという問題もクリアー出来たようです。
それ程吹き込まずとも響く様になった様に感じました。
未だ多少気になる部分もあったので手を加え、エンブレムをハンダ付けして磨くことにしました。
歌口穴の大きさ故か音のまとまりという点では多少気になる感もありますが、これ以上の改善は望めないと判断しました。
穴が大きくて心配だったのですが、僅かな手直しで効果的な Tuning が出来ました。
言い換えれば、もう少しキチンと作ってあれば手直しする必要のない頭部管であったはずです。
吹きやすくなったと感じて頂ければ幸いです。

27 MIYAZAWA 9K 頭部管

2014/11/14 2:03 に Yoshio Takamura が投稿

今回はこんな内容のご依頼です。

歌口の形を調べていて、ネット検索しているうちにこちらのHPに行きつき過去の作業日記等拝見してメールさせて頂きました。
私の使用楽器は、ミヤザワ9K(キィ・メカニズム銀製)、それ以前は、ミヤザワ頭部管銀+管体洋銀製を使用していましたが、ステップアップの為、山野楽器で中古で3年前に買いました。
買った当時は、フルートを個人で習っていて、その時師事していた先生にも選定して頂き、明るく華やかな音と憧れの金製という点が気に入って買いました。
去年から、一般の吹奏楽団で吹くようになり、音楽室やホールでの広い場所での練習がメインになりました。
そこで、今回依頼する経緯なのですが、家などで吹く時は気にならなかった音量や響きなのですが、広い場所で吹くと、あきらかに音量の小ささ、響きの薄さが目立ち、思うように吹けません。
低音は、まだ良いのですが、中音域から高音域にかけてが特に難しく、豊かな音を響かせようと、フォルテで息を吹き込むとひっくり返る事が多く、コントロールするのが難しいのです…。
その為に、楽器を外吹きしたり、内吹きしたり試行錯誤しましたが、今は少し内吹きぎみにセットして吹いています。
もう一つ問題点があり、チューニング442Hzで合わせると、かなりピッチが高くなってしまう事です。
冬場はまだ良いのですが、夏場だと、それでなくても高いのに、1.5cm位頭部菅を抜く事もあり困っています。
楽器の修理の際に代替楽器(総銀)を借りて演奏した際の鳴りの良さ、コントロールのしやすさ等考えると、自分の楽器をチューニングして頂いたら、もっと芯のある豊かな響きが生まれるのでは?と悩みに悩みメールしました。

というわけで、送って頂いた楽器を吹いてみました。
良く鳴るポイントで吹く限りでは金らしい明るく華やかな音がします。
しかしながら音程のコントロールが殆ど出来ない状態ですので、正しい音程で吹こうとすると鳴らすことが難しくなりお悩みの状況になるものと考えられました。

ぱっと見の印象は悪くありません。
ところが
中を覗くと・・・
見たことのない形です。
左右よりも前後の方が広がっている様に見えます。
よっぽど前後の角度が開いているのかと思いきや、左右の壁が殆ど垂直に近いのでこの様に見える様です。
計測してみると、サイズも角度も何とか大丈夫そうなので横の壁を下に広げていけば何とかなりそうです。
それにしてもこれは何かを狙った作りなのでしょうか???

取り敢えず削っていくと形の歪みも気になって来ます。
アンダーカットはあまり取りたくなかったのですが、途中経過では殆ど改善出来ませんでした。
この状態でもまだ思う所に到達しません。
この状態でようやく良い状態になったと感じられました。

すっかり手こずり時間も掛かってしまったので、とりあえず今日中に仕上げてお送りする旨を連絡しました。
その後あらためて最終チェックをしたのですが、コントロールはしやすくなり楽器としての性能は改善されたものの、音色的にもう少し改善したいと感じました。
形が整ってくるに連れ細かな部分での不具合が目立って来ます。
それらをほぼ修正して行くうちにだんだん焦りを感じ始めましたが、最後に微妙な一手加えると良い状態になりました。
最終的にはより良い方向に持って行くことが出来ましたが、今回の状態はかなり手強く100%思い通りの仕上がりには至らなかった気がします。
ミヤザワの特徴なのか、或いは9Kのせいなのか芯のあるしっかりした音に近づける事は非常に難しい作業でした。
それでも音程や音色のコントロールはしやすくなったと思いますので、表現の幅は広がったのではないかと思います。
お客様にも同じ様に感じていただければ良いのですが・・・

26 頭部管の再生

2014/11/11 1:43 に Yoshio Takamura が投稿   [ 2014/11/11 3:15 に更新しました ]

今回は少し大掛かりな修理の依頼が来ました。

以前相談したヤマハはドイツの楽器にとりあえずのモノとして差して使っていたものですが
オリジナルの洋銀にメッキの 頭部管(銘もなく確証はありませんが)は管体と反射板・クラウンのみあります。
リッププレートは外されていて管のみです。
ドイツの楽器ならではなのか、頭部管の歌口から端までの長さが7MMほど違い
ヤマハを差すと12,3mmは抜かなければピ ッチが合いません。
かなりのばくちにはなりますが、それなりに費用をかけるのであれば
オリジナルの管を使った方がメーカーの意図したスケールになるのではと期待しています。


というわけで、添付された画像を見ると2箇所の柱のようなものが気になりました。
オリジナルは象牙かプラスチック製の歌口が付いていたものを外して金属製に付け替え、更に外された物の様に思えました。

他に楽器をお持ちでないということで、本体は頭部管が出来上がった後に送って頂くことになりました。
実際に送られて来た管を見てみますと、確かに歌口の穴の位置がかなり上方にずれています。
絞りは特別ではなさそうなので細い部分に歌口が付いていることになります。
本体のCisトーンホールから接続管端までの距離を測っていただいたところ、歌口からCisまでの距離は通常と変わらない事が判りました。
胴部管が短い分を頭部管で補っていることになります。

メッキの剥がれている部分が変色していたので、地金が真鍮の可能性も懸念されたのですがおそらく洋銀の様でした。
もしも余りに見栄えが悪くなった場合は銀管で新たに作り直す事を前提に作業に入りました。

先ずはハンダを綺麗に処理してから、出っ張った柱を炙って外そうとしましたがダメでした。
メッキもブツブツと浮き上がってきたのでヤスリで削ることにしました。
次に現状の歌口の穴を埋めるのに材料をニッケル合金にするか銀にするかで迷いました。
新しい歌口は銀製にするので、成形のしやすさと銀ススズハンダを使えることから銀の板を使うことにしました。
ロー付して磨いた状態です。

そして今回予めライザーとリッププレートをロー付けして磨いて準備しておいた歌口がこれです。

ハンダ付けした状態

最近は木管ばかりで久々の銀の中ぐり・・・緊張したので多めに残すことにしました。
そして歌口の成形。
基本的には木管と同じです。ただ材質が違うだけ・・・

磨いてひとまず完成したので吹いてみました。
いっぱいに入れてもなお低いので正確な判断は出来ませんが、悪くない印象でした。
早速胴体を送ってもらうことにしました。
WERNER FISCHER BREMEN の刻印

全体にメッキが剥がれかかっていますが、なかなか響きの良い楽器です。
すり合わせをして一部気になった部分を手直ししたところ、結構良い楽器に仕上がりました。
ついでに今まで使っていたヤマハの頭部管の不具合も直すことにしました。
明らかに目に見える問題だけを処理してみると、音程のコントロールもしやすくなり吹きやすくなったと思われます。
それでもオリジナルの再生頭部管の方がまとまりのある音で私には好ましく感じられます。
気に入っていただければ良いのですが・・・




25 ピッコロのTuning

2014/10/26 4:37 に Yoshio Takamura が投稿   [ 2014/10/26 5:23 に更新しました ]

菅原潤氏からフィリップ・ハンミッヒとバーカートのピッコロのチューニング依頼がありました。
以前スコティッシュ・チューニングを施したフィリップ・ハンミッヒも比較用に送って頂いたので、にわかにピッコロが増えました。


上から
 ヘルムート・ハンミッヒ(#235 木下先生の愛器)


 バーカート(今回依頼品)


 フィリップ・ハンミッヒ(今回依頼品)


 フィリップ・ハンミッヒ(比較用・スコティッシュ)


 ヤマハ(自前・スコティッシュ)




先ずはフィリップ・ハンミッヒを観察してみると・・
歌口の穴周りがだれ込んだような状態で、エッジ部分も荒れた状態でした。
中のアンダーカット部分の形状にも気になるところがありました。
この辺を修正してみると、最初の状態よりはだいぶ改善されました。
ちょっとポイントが狭いというか、つまった感じはあるもののシャープな音になりました。
スコティッシュ化については悩むところです・・がそれはもう少し吹いてから決めることにしました。

次にバーカートは・・
外に見える穴の形はスッキリと綺麗なのですが、中を覗くとアンダーカット部分にキツイ凸凹が見られました。
穴の大きさは明らかに他に比べて大きい様です。
音もボワっとした感じで高い音が出にくい印象でした。
ただし今回の2本については低音が良く鳴る印象がありました。
早速問題部分を手直しすると殆ど良い状態になりました。

悲しいかな・・ピッコロを吹くことに関してはあまり習熟していないこともあり、吹く度に印象が変わってしまいます。
結局3日間に渡りあれこれ吹き比べをしながらようやく完了しました。
結局フィリップはスコティッシュ化して更に吹きやすい状態になったと感じられます。
バーカートはノーマルでも音色はさておき息が入り吹きやすいと思います。

おそらく専門家からの厳しいコメントを頂くことになりそうです。

24 三響 ST-1 Pure Ag

2014/10/16 5:27 に Yoshio Takamura が投稿   [ 2014/10/16 6:32 に更新しました ]

今回で3本目のご依頼を頂きました。
こんな風に書くとたくさんの楽器をお持ちのコレクターやマニアといった連想をしてしまいがちですが、
このお客様はしっかりとしたお考えをお持ちの上で楽器を選ばれ、その特徴や状態についても正確な判断をなさっておられます。
今回の内容は

3 頭部管の機種: サンキョウ ST-1(スタンダード・タイプでライザーが一番高い頭部管)5年前に購入
4 使用楽器:      アルタスPS、リング・キー、ハーフ・オフセット、H足、Eメカ(6年前に購入)
5 依頼の主旨:  アルタスPSを気に入って買ったものの、どうしても頭部管になじめず、翌年サンキョウST-1を買った。
             それまで使っていたサンキョウ・フルートの頭部管が気に入っていたので、同メーカーの頭部管を選んだ。
 ☆ 気に入っている点
  ① レスポンスがよく、タンギングもザクサクと切れる。
  ② 輪郭のはっきりとした音色で、PSの堅い材質と相まって、シャープで硬質な音が出せる。
  ③ ライザーが高いため、低音が出しやすい。
   これらの特徴はたぶん、歌口のエッジが薄く、鋭く削ってあることと関係あるのではと思っているが、この特徴は諸刃の剣となっているのか、
           以下のような不満を生み出している。
 ★ 不満な点
  ① 高音が鋭すぎる、薄すぎると感じることが多く、長時間吹いていると耳が疲れる。
  ② シャーリングがやや多すぎる。これはライザーに意識的に残してあるヤスリ痕?のせいと考えられるが、もしかすると、私がうっかりぶつけて傷つけてしまった
               歌口右上方の小さな傷も関係しているかもしれない。
  ③ コントロールしにくい。
 6 Scottish 化について: 私は髙村さんの診断・技術に全幅の信頼を寄せておりますので、髙村さんのご判断にお任せします。

私は基本的にはこの頭部管が好きなのですが、この頭部管を一言で言ってしまえば、「じゃじゃ馬」となるでしょうか。
どうも長所が短所にもなっているようで、厄介ですが、この頭部管の「じゃじゃ馬ならし」を髙村さんに是非お願いしたいと思っているのです。
ソフトで甘い音色を出したいとき、あるいは古い時代の音楽を演奏したいときには、以前チューニングしていただいたムラマツDNのヘビー管を吹き、
新しい時代の音楽を演奏したいときにはアルタスPSを吹いて楽しんでいます。
この2本の全く違うタイプのフルートを吹けるのは贅沢なことだと思っています。是非、よろしくお願いいたします。

ということで、少々難しい課題にも感じられましたが少しでも改善出来ればと考え、お引き受け致しました。

頭部管が届き、早速音を出してみました。
殆ど前述のお客様ご自身の印象を再確認する形になりました。
確かに低音は小気味良い鳴りですが高音は無機質で冷たい音です。
全体の雑音はエッジの傷が原因かもしれません。
音程のコントロールもしづらい様です。
中を見た限りでは問題は見られず比較的綺麗な作りでした。
あまり手を加えずにどこまで改善することができるか、微妙な調整をじっくりと行ってみることにしました。

最初に気になったエッジ上の傷の影響を確かめようと、その部分に手を入れ始めてから写真を撮り忘れていることに気づきました。
(したがって元の状態の画像はありません。)
その処理後の音出しではさしたる改善は感じられませんでした。
ライザー正面の壁の形状と状態、アンダーカットの微妙なつながり具合とサンキョウ独特のオーバーカット(ショルダー)の形状等にも少しずつ手を入れて一旦磨くことにしました。
ほぼ不満な点として掲げられていた問題は改善されましたが、今ひとつ私自身が満足できない部分が残りました。
その後吹きながらの僅かな調整で殆ど改善することが出来ました。
これで気に入っておられる特徴を犠牲にすること無く、不満な点を改善して楽器としての問題点も解消出来たと感じました。
それでもこれしか無い1本と考えた場合に、自分としてはもう少し手を加えて深みや艶が欲しくなってしまうのですが、それではどれも同じ傾向になってしまうので今回はこの状態がベストと考え終了いたしました。


最近は木製頭部管の製作に殆ど没頭していますが、歌口作りにおいてはこういった経験が常に活かされているのを感じます。

23 ヘインズ 14K Gold

2014/09/18 6:36 に Yoshio Takamura が投稿

今回はヘインズのオール・ゴールドの Tuning です。

さて、チューニングをお願いしたいヘインズの頭部管ですが、ラファンに比べてコントロールするのが難しく感じます。

先にチューニングして頂いた秋山/メナートの変身ぶりを体感して味を占めましたので、出番の殆ど無くなってしまった

オリジナルの頭部管に再び活躍してもらいたいと思っています。

Scottish Fold Embouchureを積極的に希望します。

久しぶりにオリジナルの頭部管をつけて吹いてみましたが、いつも使っているラファンよりも中低音の息の入り難さを感じました。

パワー感も劣りますが、音色は変化に乏しいものの捨てがたい魅力が有ります。

以前、 *** にリカットの相談をしたことがありますが、オリジナルの魅力が損なわれるので勧められないということでした。

しかし、結局はラファンばかり使うことになってしまい、宝の持ち腐れ感があります。

 

ということで、送られてきた楽器は総金の 45500 という番号でした。


吹いてみると・・・楽器としてちゃんと機能していない様な感じの音です。
吹きづらいがそれなりの味のあるヘインズの音とは別物です。
穴の形は整っていますが、かなり大きい感じです。
中を覗いてみると・・・ライザーよりも大きな穴が管に開いていて段差がついています。
これは何らかの手が入っている様なので確認しました。

中古でフランスのフルート専門店(パウエルの代理店)から購入したのもです。
以前、 *** でも同じ様なことを指摘されました。
・・・改造したものを元に戻したのではないか?。
*** に大きな穴を修正するための修理をお願いして、リカットも相談した経緯があります。
段差は修正されたものと思っていました・・・。



この画像では理解し難いかと思いますが、
鏡に映った下の方の細い溝のような線が元の半田層なので
その上の光った部分は管の厚みのはずです。
その上に結構な幅で黒く見える部分があり凹んでいます。
その上にようやく管の内側部分が光って見えます。
何とも不可解な状態です。

先ずはこれを何とかしなければ・・・


壁の角度も大きく(下に広がり過ぎ)穴のサイズもこれ以上は触れない悪条件で、とりあえず段差を最小限に修正しました。
この状態で吹いてみましたが、最初の状態からは改善されたものの満足の行くものではありません。
結局スコッティッシュ化に踏み切りました。
これでようやく楽器としての基本的な問題は解消できました。
それでもなお音色の面白さと低音の物足りなさを解消すべくあれこれと格闘しました。
力強い音を出すのは困難ですが、高い音は楽に綺麗に鳴ります。
この頭部管をオールマイティに使用するのは難しいかもしれませんが、使い分ければそれなりの楽しさはあるのでは・・・
という状態には持って来られた気がするので、これで終了とさせていただきました。

ヘインズの金はかなり手強い印象が拭えません。

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