03 FMC フルートマスターズ

2014/01/23 3:16 に Yoshio Takamura が投稿   [ 2014/01/25 21:27 に更新しました ]
今回の Tuning に関して、依頼されたお客様の了承を得られましたので、一連のメールでのやりとりを掲載させていただきます。
必要の無い部分は割愛していますが、文章はそのまま引用させていただきました。
このページをご覧いただいている方々の参考になればと思います。

2014/01/17 20:37
はじめまして。
福岡の**と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

ムジカテラシマさんからご連絡があったと思いますが、高村さんの頭部管チュー
ニングに大変興味をもっている一人でございます。

N響の菅原さんのお話も、寺嶌さんから今日聞かせていただきまして、是非私のフ
ルートもチューンアップして頂けないかと思いまして、メール致しました。

FMCフルートマスターズの豊田さんが最近作られた試作品を買ったのですが、良く
鳴って音も素晴らしいのですが、今ひとつ鳴らしにくいというか、コントロール
しづらいので、見て頂きチューニングをお願いしたいです。

すぐにでも発送できますので、送ってよろしいでしょうか?


2014/01/17 21:38
ご連絡ありがとうございます。
当方の Tuning に興味を持っていただきありがとうございます。
Tuning に関してはスコティッシュを含めた方向でよろしいでしょうか?
楽器をお送りいただき吹いた上でまたご相談させていただきます。
それではどうぞよろしくお願いいたします。


2014/01/18 9:47
早速のご連絡有り難うございます。
もちろん、Tuningに関しては、スコティッシュ含めた方向でお願いしたいと思っ
ています。
この楽器は、ハンス・ペーター・シュミッツ氏向けに製作したヘルムートのコピー
の試作品だそうです(キーシステムは違うようですが・・)。
これを含めてご検討いただければ幸いです。

本日楽器発送しますので、よろしくお願いいたします。


2014/01/20 11:34
先程楽器が届きました。
早速吹かせていただきましたが、今まで手掛けたマスターズとは音の傾向が違う様です。
発音は良いのですが、曲を吹こうとすると音程を取るのが非常に難しい頭部管だと思います。
ヘルムートのコピーとありますが、私が以前吹いて採寸した楽器とは寸法も音も異なっています。
確認させていただきたいのですが、出来ればヘルムートに近い音をお望みでしょうか?
リップの形状等手直し出来ない部分もありますので、どこまで近づけることができるか保証は致し兼ねますが、そういった方向での Tuning も考えられます。
もしもヘルムート・タイプという事にこだわらないのであれば、通常行っている方法で進めさせていただきます。
昨日、菅原潤氏に託して4本の頭部管をムジカテラシマさんへ届けてもらいました。
まだ準備が出来ているかどうか確認しておりませんが、私が送ったオリジナル試作1本と合わせて試奏して頂けると傾向がご理解頂けるかと思います。
お店にお問い合わせください。

それから、納期に関しても通常出来る限り最短の日数で作業することを心がけておりますが、もしもご希望等ございましたらご連絡ください。
それではよろしくお願い致します。


2014/01/20 13:21
ご連絡有り難うございます。

まず、コピー元のヘルムートについての詳細は、詳しく聞いていませんが、ヘル
ムートの中でも特にシュミッツ氏の特注モデルだと聞いています。本体はシーム
レスのソルダード、頭部管は巻き管だそうです。巻き管仕様の試作品がもう一本
あったのですが、吹き比べるとこちらの方が、芯がある感じで重厚な音色だった
のであえてシームレスを選びました。

希望としましては、出来ればヘルムート的な音色にとは、思っております。もち
ろん、ヘルムートは吹いたことも、間近で聴いたこともないので、誤解している
面もあると思いますが、音の方向性としてお考えいただければ結構です。現状よ
りも吹きやすくなることを優先させて頂きたいと思います。特に感じますのは、
ダイナミックスというか、ピアニッシモの発音のポイントがよく分からないのが、
気になっているところです。メインで使ってるのは、ブランネンのモデファイド
クーパー19.5Kの頭部管に15/85の本体です。もちろんこちらの方が、私にとって
は、非常に扱いやすく音色、吹奏感ともに非常に気に入っているのですが、この
楽器と使い分けする意味でも、ドイツ的な楽器が欲しいと思い購入したしだいで
す。
もともと私は、トラヴェルソ吹きから入って、有田先生のモダンフルート(ヘル
ムート)のバッハを聴いてから、最近モダンを始めた人間でございます。音程や
スケール等は、そんなに気にはなりませんが、もしかすると音程が取りにくいの
で、すごく吹きづらいのかもしれません・・・。

あまりフォーカスされた単一な音色ではなく、少々ノイズっぽくても、太く広が
りがある音で、コントロールしやすい方向で仕上げていただければと思います。

以上、少しでもニュアンスが伝われば幸いです。よろしくお願いいたします。


2014/01/20 16:57
早速ヘルムートと異なっていると思われる部分に修正を加えてみたところ、最初に感じた左手が下がってぶら下がってしまう状態が殆ど改善されました。
恐らく音程は気にならないが p のコントロールがし難いと表現された部分は、これで解消出来たように思います。
あとは多少息の入り難さを感じたのでその辺を修正しました。
以前私自身が作ったヘルムートのコピーよりも良い状態になってしまったようです!
Tuning はもう殆ど完了してしまいました。
吹いている内に印象が変わって来ることがありますので、もう少し色々と試させていただき気になる点が無ければ、明日にでも送ることができるかと思います。
それから、エンブレムについては如何いたしましょうか?
基本的には Tuning の証としてAg950のエンブレムを貼らせて頂せておりますが、あまりお気に召さないという場合にはお付け致しません。
確認の上で作業に入りますので、ご連絡よろしくお願い致します。

2014/01/20 17:33
さすが・・・的確で早いですね。到着が楽しみです。

それと、すみません。「左手が下がってぶら下がる」っていう表現、素人に分か
りやすく教えていただけませんか?

エンブレムの件ですが、もちろん喜んで貼らさせていただきます。


2014/01/20 18:17
お尋ねの件についてご説明させていただきます。
例えば、中音域で F(Fis) G A と順番に吹いた時の A を左手と表現しています。
この音型をアンブシュアやお腹の支え、息のスピードを変えずに同じ状態で吹いた時に、Aの音程が低くなる状態を「左手が下がる」と言っております。
更にそのままの状態で吹いた音の感じが、左手になると失速して音程が下がってお辞儀している様で、活き活きした音でなくだらしない感じの状態を「ぶらさがる」と表現しています。
この現象が起こる頭部管は「難あり」とみなしております。
状態としては、良く鳴るポイントが息の出る唇の穴からエッジまでの距離が短い(近い)事が考えられます。
これを解消するために、うんと距離を取って外吹きにするとコントロールの効かない雑な音になります。
楽器のせいと気づかずに、こう云う吹き方しか出来ないのはご自身のせいだと思い込んで悩んでいる方も多いかと思います。
この現象が起こる要因は必ず何処かに発見できます。
これがすべてではありませんが、簡潔で有力な判断手段であることは間違いありません。

さて、これからエンブレムを貼って、更に確認をしつつもう少し楽しませていただきます。
明日中か、明後日の朝には発送できると思いますので、もうしばらくお待ちください。
それでは。


2014/01/20:04
ご丁寧な説明有り難うございました。勉強になります。
ちょっと他の頭部管も気になってきましたので、暇を見つけて左手が下がってな
いか見てみます。

とりあえずフルートマスターズ楽しみにしておりますので、
よろしくお願いいたします。


2014/01/21 11:29
本日あらためて吹いて確認いたしましたが、とても良い楽器だと思います。
昨今のクーパーカットに頼らずとも、ここまでの能力が出せるのだと再認識させていただきました。
あまり私見を押し付けて、先入観を持たれてしまうといけないので控えておきますが、私にとっては好ましい楽器として認識出来ました。
届きましたら是非とも率直なご感想をお聞かせください。
それから、昨日の左手ぶらさがりの件で補足を・・・
一流のプロの方は息のスピードやビブラートを駆使してそれなりに吹いてしまう事もあるようです。
むしろそういった吹き方を好まれる方もいらっしゃるので、色々な楽器が存在しているのでしょう。
私はよく、「特別な吹き方」という表現を使っておりますが・・・
 (この部分は 作業日記2013の#35 ムラマツEXの音を聴いていただくと分かり易いかも知れません。後註)

それでは後ほど楽器を発送いたしますので、よろしくお願い致します。


2014/01/21 13:06
(省略)
ただし、私は先回メールでもお伝えしたとおり、トラヴェルソについては、有田
さん、前田りり子さんのレッスンを受けておりますが、モダンフルートを初めて
手にしてからまだ1年程しか経過しておりませんし、先生にもまだ就いておりませ
んので、アンブシュアも試行錯誤の状態です。本当にこういう音で良いのか?本
当にこういう鳴らし方でいいのか?どの先生に教えていただいたら良いかもまだ
迷い続けて月日が経っているこの頃です。

ただ何気に曲を吹いているだけでは、自分の音がどう聞こえているのかさっぱり
分からなくて最近では、結構自分の音を録音して吹き方や音色を考えています。
そんな最中に、今回のフルートマスターズの楽器をムジカテラシマさんから「ち
ょっとマニアックな試作品があるから」と、ご紹介いただき吹いてみました。最
初吹いた印象は、ブランネンの吹きやすさに慣れている私にとっては、あまり心
地がよいものではなかったのですが、吹いているうちに慣れてきたこともあり、
これもありかなぁと思うようになりました。自宅に借りて帰り録音をとってみる
と以外にも良い感じの音で鳴っているではありませんか。もちろんヘルムート的
な音かどうかは別としても、方向性は感じられると思いました。吹いている自分
が感じている音は、もちろん吹奏感も含めて感じているのでしょうが、客観的に
聞こえる音色と吹き心地とのギャップがなければ、もっと楽しくなるのにと思い、
今回髙村さんにチューニングをしていただくことを前提に、この楽器を買いまし
た。

チューニングしていただいた楽器が到着して、どんな印象が持つことができるか
自信がありませんが、とりあえず、髙村さんにお墨付きを頂けたようで安心いた
しました。


2014/01/23 18:40
頭部管 本日受け取りました。有り難うございます。
1~2時間程吹き込みました。

率直に感じたことを記させていただきます。

まず、第一に感じたのは、かなり吹きやすくなっているということ。
鳴るポイントがはっきり分かります。第一の依頼であるpでのポイントがつかみ
にくかったのが、完璧に改善されています。コントロールがし易くピアニッシモ
でも楽な気持ちで吹けるのが大変嬉しく思います。
左手のぶら下がりが無くなったせいか、音色(スケール?)が明るくなったよう
な気がします。全体のピッチも少し高い気がします。反射板の位置ですが、
17mmよりも少し短い位がバランスは良いように感じます。16mmでも良いかと感じ
るのは、私だけでしょうか?この頭部管は、もともとあまり抜かずに吹いていた
のですが、今は5~6mmほど抜いています。反射板の位置も16.5mmより若干短い
かもしれません。

音色ですが、チューニング前の何とも複雑な倍音というか、ボワーッとした周波
数構成は、ちょっとスッキリした感じになったような気がします。しかしながら、
そんなに音が痩せることもなく、基本的な味は残っているので安心しました。

また、何か気がついたことがあればご連絡いたします。

期待以上の仕上がりで、納得しております。有り難うございました。


2014/01/23 19:14
早速のご感想ありがとうございます。
気に入っていただけた様で嬉しく思います。
正直言って、楽器を発送してお客様に届いてからその反応が返って来るまでの間は非常に緊張します。
先入観に捕らわれて判断がぶれていないか、独り善がりになっていないか・・・と不安な思いで居ます。
今回の様に具体的な感想をいただけると本当に安心致します。

さて、反射板の位置については基本的に 17.0mm に合わせてあります。
僅かに調整することもありますが、特に問題を感じない場合は定位置としております。
微妙な差異を判断できる方は試してみられると面白いとは思いますが、それでも 17mm から +- 0.2mm 程度を目安とされた方がよろしいかと思います。
頭部管の抜きしろは 5mm を基準に設計されています。

今回の Tuning をきっかけに、**様のフルート、ならびに音楽にまつわる環境が、より楽しいものと成ることを望んでおります。
それでは、ありがとうございました。


以上のような経緯で、今回も作業させていただきました。

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