11 メナート(改)

2014/03/02 20:51 に Yoshio Takamura が投稿
今回は大学の後輩(実は同じ歳)からの依頼です。
現在は高校の教諭になられ趣味で吹いておられる様です。
内容は以下の通りです。

以前(89年前?)、アンブシュア部を銀製であることに対する不満と高音のつながりやすさに魅せられて秋山フルートでクラシカルタイプに交換してもらいました。

メナートの出すぎるくらいの低音が犠牲になったのかなと思いましたが、メナートの音色は残っていたので致命的とは感じませんでした。

しかし、ダイナミックレンジの狭さや吹奏感の物足りなさからか、だんだん使用頻度が下がってしまい、今では殆ど使っていません。

たまにオケの練習で使ってみると、周囲の仲間からは、「いつもより、なんか窮屈そうですね?」との感想を寄せられ「なるほど」と納得しています。

サウンドホールも小さくなり、以前ほどの低音のボリュームは戻ってこないとは思いますが、高音の繋がりやすさと透き通るような音色を残しながら、

もう少し低音が豊かにならないかと願っています。

ホワイトゴールド管に銀の歌口が付いていたものを、秋山氏に依頼してピンクゴールドの歌口に付け替えたというものでした。
最初に連絡をもらったときに、ホワイトゴールドは非常にハンダ付けが困難であった経験があったので確認したところ、オリジナルはロー付けされていたとの事でした。
最近いろいろな事例を見て思うことは、昔からどのメーカーもきちんと金属の特性を把握して対応していたということです。
私が居た会社には殆どそういったノウハウが継承されておらず、私が修理に当った時も文献を調べた上でいろいろなハンダを使って実験して一番相応しいと思われる物を使った覚えがあります。
今やそのノウハウさえ受け継ぐことが無い状況にある様です。


早速吹いてみましたが、あまりの音の小ささにびっくりしました。
とても優しい上品な音ではありますが、何か別の楽器を吹いているような・・或いはサイレンサーの付いた深夜練習用の楽器といった感がありました。
試しにこの様なヘッドスクリューが付いていたので普通の物に替えてみると、俄然音量は出るようになりました。
トロフィーの様でとても美しいのですが・・・
最近このような「音を良くする」効果をうたったアイディア商品が出回っていますが、どれも根本的な改善に繋がる物は一つとしてあり得ないと思います。
例えば歌口の壁に一つ傷を付けただけで劇的に吹奏感も音も変わる場合があります。
それを良しとしてしまったら、無数のヴァリエーションの歌口で溢れてしまいます。
何をしても大きな変化が現れる事が頭部管を神秘的な物として祭り上げ、良い商売道具になっている様な気がしてなりません。
本体の様にタンポが塞がらない楽器はダメ・・・といった単純明解な基準があっても不思議では無いのですが・・・

さて、作業に入ると早速平行四辺形のように曲がった穴の修正をすることに・・・
これを避けて通る訳には行かないのでどうしても穴が大きくなる傾向になってしまします。
何度か試奏しながら調整したのですが、ホワイトゴールド管によるものかゴールドの歌口によるものかどうしても伸びやかで良好な音に持って行く事ができません!
大した違いは無いだろうと思い前述のヘッドスクリューを使っていたのですが、普通のコルク栓に替えてみると明らかに良い方向に変わりました。
何度も繰り返し試してみたのですが結果は同様でした。
もしかするとシリコンのOリングの気密性が劣化しているのかもしれません。
それでもまだ納得の行く状態にはならず、一度あきらめかけましたが更に最後の手を加えることにしました。
何とか納得できるところまで持って来ることができました。
コントロールもし易くなり音量も出る様になりました。
もちろん低音も豊に鳴るようになったと思います。
ホワイトゴールドの特徴なのかきらびやかになる事無く重い音の印象です。
私の黒檀製ヘッドスクリューを付けたところケースに収まらなくなりました。
急遽出っ張る部分が少なくなるように加工して終了しました。

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