15 SANKYO 10K FT

2014/03/31 22:29 に Yoshio Takamura が投稿
今回は三響の 10K Gold FT です。
今までにも何本か手掛けていますが中々手強い個性的な頭部管です。
ご依頼の内容は以下になります。

低音はそこそこ鳴っていると思いますが、高音部は銀を含有している10Kにしては、鳴らない飛んでいかないと思います。
吹き方も悪いかも知れませんが、高音の素晴らしい三響、金の三響と言う割には、イマイチ状態です。
現在は三響の楽器を使っていますが、ビンテージ楽器より高音が頼りなく、抜けも悪い印象です。
今回は三響の状態を極限まで、増して頂けたらと思っております。
FTは以前にも手掛けられている様ですので、さらに良い状態を目指せるのでは無いかと、一人楽しみにしております。

ということで、早速吹いてみると息が入り辛く薄っぺらな音がします。
頭部管の不具合も感じられますが、殆どはメーカーの意図する音造りなのでしょうからこの楽器を選ぶ場合は良く吟味する事が必要かと思います。
目で見る範囲ではエッジに付いたキズとアンダーカットに気になる箇所が見受けられました。

早速作業に入ることにしましたが、何故かコルクが抜けない・・・
普通はどんなに堅くても軽く木槌で叩いてやれば動くのですがビクともしません!
コルクナットを回すと反射板が動いたので、どうやらコルクが管にくっついているようです。
何らかの接着剤を使用している可能性もあったのでアルコールを流し込んで放置してみました。
それでもダメだったのでコルクナットを外して反射板を抜き取り、バーナーで軽くあぶりながらコルクを外しました。
特に接着された形跡も無かったので兎に角信じられない程きついコルクを無理やり押し込んであった様です。
お客様に問い合わせたところ、修理に出したことはあるがコルクを換えた事は聞いていないので不明だということでした。
メーカーであの状態は考えにくいのですが・・・いずれにしても異常事態でした。

非常に個性的な歌口とリッププレート形状です。
今回はノーマル・チューニングという事ですので、気になる部分の修正を施し、確認後更にもう一度手を加えて完成しました。
この画像を見比べた限りでは・・・多分判らないと思いましたが、観察力の鋭い方なら判るかも・・・
元の状態に比べるとかなりしっかりとした響きが得られるようになり、コントロールもし易く音程もとり易くなったかと思われます。

今回、このフォルテ2という反射板が一緒に送られて来ました。
他の楽器に使用した際にスクリュー部分を短くカットしてしまったらしく、サンキョウのオリジナル・クラウンでは嵌合できませんでした。
違うクラウンを使用して吹き比べをしてみました。
フォルテ2とオリジナルを何度か吹き比べてみましたが、私にはうたい文句のような効果は感じられませんでした。
むしろ反射板の位置の違いの方が大きく影響する様です。
以前にも書きましたが、この様な商品で根本的な改善はあり得ないのですが、手軽に交換するだけで変化を期待してしまう気持ちも良くわかります。
下手をすると誇大広告になりかねませんのでメーカー側には注意して頂きたいものです。
千円、二千円で手に入る物ならまだしも、金ともなれば十万、二十万という値が付く様ですので・・・
私の行っている作業が馬鹿らしく感じられてしまいます・・・
いや、それでも本当に喜んで頂ければ最高に嬉しいのです!
さて、今回はいかがでしょうか?

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