17 SANKYO シルバーソニック

2014/05/25 16:53 に Yoshio Takamura が投稿
今回は次のような内容のご依頼でした。

通常は当方サックス吹きですが、ジャズ、ポップス、ロックバンドにて使用します。
もっと息が入り音を太く、コントロールが柔軟にできるようにしたい。

という事でしたが、私自身ジャズやロックバンドでの演奏については殆ど経験が無いので、果たして通常通りの Tuning で良いのか不安もありました。
そこで更に詳しい情報提供をお願いしました。

今までのフルートはムラマツEX、GX、ヤマハ221、451です。
その他、ミヤザワ、パール等もありますが、
どれもオールハンドメイドではなく、
一般に言われる廉価版のものばかりですが、
私がやっている音楽のジャンルがクラシックや吹奏楽でなく、
先にご連絡しましたジャズ、ポップス、ロックなので、
わかりやすく言いますと、
きれいな澄み切った音ではなく、
倍音や音量、表現力重視な方向性を求めています。
前記のものは、ムラマツはジャズには良いですが、ヤマハともに
パワー不足でロックには向いていませんでした。
今回、お願いしたいのは、
明るく、ハッキリした輪郭の音、ある程度パワーもあるということで
サンキョウのシルバーソニックです。
しかし、割と管体自体は倍音も多く良いのですが、
もう少し表現の幅やコントロールが
できないかなと悩んでいる所です。
ですが、やはりフルートとしての楽器特性はありますので、
もちろん、奏者自身の技量も必要になってくるかとは思います。
それでも、やはり常に奏者として最高の演奏をしたいという気持ちは
私も同じですので、いかなる場合でも楽器に操られるのではなく、
最大現に楽器を自由自在に操りたいと考えていますので、
この度、インターネットでフルートについて検索しておりました所、
T-Tune Japan様のHPにたどり着き
過去の記事を隅々まで拝読させていただき、
是非、お願いしたいと思いました。

更に参考となる動画もご紹介頂き、かなりイメージが固まって来ました。
ジャズ演奏に詳しい友人にも尋ねてみたところ、「スコティッシュは方向として受け入れられるのではないか」ということで、その方向でお引き受けする事にしました。

送られて来た楽器はまだ新しくピカピカの状態でした。


早速吹いてみましたが、明るくて反応の良い楽器です。
中・低音域に関してはあまり問題無いように感じましたが、うんと吹き込もうとすると頭打ちになってしまいます。
特に高音についてはその傾向が顕著に現れます。
お客様のおっしゃる感覚が掴めました。

10Kの歌口です。
中を覗いて見た限りでは作りの問題はあまり無さそうです。
全体にすっきりと整った形に見えます。
ただ前後のライザーの面の状態はあまり良くなく凹凸が目立ちました。
ハッキリした輪郭と反応の良さを失くさないで改善する為には、スコッティシュ・チューニングの必要を感じました。


早速取り掛かり、集中して作業出来たので割と短時間で作業が進みました。
それでも、1回目の仕上げでは思うような状態にならず、結局3回削り直しをしました。
反応の良さと息の入り具合のバランスが気になって慎重になっていたのですが、最終的には吹けば応えてくれるキャパシティーを重視して手を加えたところ、思うところにピタッとはまりました。
元々この楽器の持つ特徴は変化せずに、いくら吹き込んでも頭打ちにならない吹き心地が得られた気がします。
お客様のお望みの音の傾向から考えても、この楽器を選択された事は非常に正しい判断であったと感じました。

クラシックに限らず色々なジャンルの中で、真剣にその楽器と演奏に取り組まれている方々がいらっしゃる事をあらためて認識させて頂きました。

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