作業日記 2015


37 Altus A1007 頭部管

2015/12/21 5:02 に Yoshio Takamura が投稿

今回はアルタスの頭部管です。
木製頭部管のご購入のお話がきっかけで現在お使いの楽器についてもご相談を受けました。
新しい楽器のご購入も考えていらした様ですが、結局現状の頭部管をスコティッシュ・チューニングした上で木製頭部管もご購入頂く事になりました。

送って頂いた楽器をを吹いてみると、特に問題がある感じではありませんでした。
作りを見ても特に気になるところはありませんでした。
本来ならば手を入れる必要は無いと思われる状態なのですが、最も気になっていらっしゃる中音域がひっくり返る現象が他の楽器では起こらない物もあったという点と、楽器の買い替えをやめてチューニングをご希望された事を考慮してスコティッシュ化することにしました。

特に悪い状態では無かったので驚くような改善は感じられないものの、より良い状態になったと思います。

今回アルタスの楽器を吹くのは初めてだったかもしれませんが、なかなか良い楽器だと思います。

36 POWELL AURUMITE

2015/12/09 3:51 に Yoshio Takamura が投稿

続いてパウエルのオーラマイトです。
今回はスコティッシュ・チューニングをご希望でした。
前回の頭部管とは製作時期が違うのかだいぶ違う印象でした。
まず歌口と管の接合方法が例の嵌め込みの様なタイプです。
中のガタつきはあまりありませんが、壁の角度が左右で違っており奥の方で斜めに曲がって見える状態でした。

形の修正とネコ耳加工でかなり音の印象が変わりました。


35 POWELL AURUMITE

2015/11/18 19:36 に Yoshio Takamura が投稿   [ 2015/11/19 5:42 に更新しました ]

今回はパウエルのオーラマイトです。

音色が気に入り今年の春頃に中古で譲って頂いたもので、吹き始めて半年位になります。
吹いていくうちに以前メインで吹いていたサンキョウ(頭部管:ピュアシルバー)と比べて高音の扱いが難しく、特に室内楽で扱いの難しさを痛感している日々です。
普通にパラパラと音階・半音階などを吹く場合には問題ないのですが、一オクターブ以上の跳躍や弱音表現が特に高音域でコントロールが難しく感じています。
何か良い方法はないかと色々調べていましたら歌口工房さんに辿り着いた次第です。
歌口工房さんのHPを拝見しまして、改めてサンキョウの歌口とパウエルの歌口を比べてみると、サンキョウのほうが内部も含め全体的にツルリとしているように見えます。
また若干ですがシンメトリーではないようにも見えます。

というご相談でした。

送っていただいた楽器を吹いてみると、高音だけ特にというわけでなく全体に吹きづらく音程もとり難い印象でした。
強く吹くと中音E,Fがひっくり返る現象も起こります。
穴の形はコーナーが角ばっておりショルダーのカットが左右対称に曲がっています。
案の定中はこのような状態でした・・・
ナイフを当てるとカツカツとガタつきを拾って、まるで石畳を傘を引きずって歩いているような?・・音がします。

これらを修正すればきっと良い状態になる筈です。
予想通り機能的に問題の無い頭部管に仕上がりました。

少し前に手掛けたヴィンテージ・パウエルに比べると全く別物の印象です。
これ以上は何も申しません・・・




34 SANKYO 木管フルート頭部管

2015/11/16 4:20 に Yoshio Takamura が投稿   [ 2015/11/16 16:31 に更新しました ]

今回は初めてのサンキョウ製木管フルートの頭部管です。

以前にお問い合わせがありその後改めてご連絡をいただきました。

ご相談させていただいて以降、さまざまな頭部管を試したり、吹き方を試行錯誤しながら過ごしていました(DACで髙村様の木製頭部管も試奏させていただき、とても感触が良かったです!)。
その後、しばらく経ちましたが、やはり以前から感じていた違和感は消えずにおります。
そんな折に、貴社HPで自分が感じる違和感と同じ状態の頭部管をチューニングされた記事(2015・29・SANKYOセミハンドメイド)を読み、このたび髙村様にチューニングをお願いしたく思い、ご連絡させていただきました。
現在、感じる違和感は上記の記事にある「購入当初から低音域が出しづらく感じるのと、中音域のE、Fあたりがよくひっくり返ってしまい、安定しません。」というものです。
また、エッジの息をあてるポイントがはっきりせずぼやけているというか、ポイントがとても小さいというか、、、響くツボを見つけにくい印象もあります。

ということで早速楽器を送っていただきました。

最初に感じたのは木管でもサンキョウの音がするということです。
これはメーカーとしてのコンセプトがはっきりと打ち出され、それを再現する技術を持っているということですからある意味凄いことです。

確かにご指摘いただいた問題は感じられましたが、これも音造りの一環として容認すべきものではないかという思いもありました。
吹き方に慣れて・・フォーカスを絞って速い息のスピードで吹くとそれ程問題を感じなくなります。
それでも色々な組み合わせで吹き比べをすると、最初の瞬間音がまとまらずに散ってしまう印象を強く感じました。
中の作りを見てもさほど気になる部分はありませんが、非常に微細な部分で影響を及ぼしそうな箇所は確認できました。
このまま何もせずに楽器に慣れていただく・・という提案も浮かびましたが、ほんの少しでも改善できるなら最小限の手を入れてみようかと思いました
驚くような変化は期待できないまでも、ごく僅かでも改善できるような方向で進める旨をお伝えすると・・・

こんなことを言うと矛盾かも知れませんが、、、個人的には木管らしさを前面に押し出した感じもいいのですが、料理で言うアクセントやテイストのように
“木管っぽさが感じられるモダンフルート”的なものが理想としてあります(これをSankyoに求めるかは別として)。

というお返事を頂いたので、もう少し変化の期待できる方向で手を入れる事にしました。
とは言え手を入れたのはほんの僅かでした。
それでも目で見ただけよりも実際にナイフやヤスリを当てると色々と見えて来るものです。
殆ど形を変えること無く良い状態にすることが出来たようです。
立ち上がりが良くなりまとまりのある音になりました。
木の頭部管のチューニングに関してはまだ躊躇していましたが、基本的には金属と同様に考えて良いようです。

今回の頭部管の状態が個体差の範疇だとすれば、サンキョウの木管もなかなか良い楽器だと思えます。
自分の頭部管も更なる改善の必要を感じます。


33 Muramatsu DN 頭部管

2015/11/11 18:19 に Yoshio Takamura が投稿   [ 2015/11/11 19:55 に更新しました ]

今回は40年程前のムラマツDNモデルの頭部管です。
以前にも違う頭部管をチューニングさせていただいた方からのご依頼で、殆ど使わずにいた物を久々に吹いてみたところなかなか良いと感じたので必要があれば手を入れて欲しいという事でした。

最初に吹いてみた印象では如何にもいにしえのフルートの音がして懐かしい感覚がありました。
この当時の頭部管にありがちだった中音Eのひっくり返る現象もみられ曲を吹くにはコントロールも難しいと感じられました。
その後改めて吹いた際には柔らかく甘い音色が心地よく感じられ、これでもう少しコントロールがし易くなれば面白い頭部管になると思いました。
決して刺激的で強い音は出ませんがそれ程音量が乏しいというわけではありません。

作りを見てみると、穴の形はとても整っていてバランス良く修正する必要のない状態です。
大きさや角度もそれ程理想とかけ離れたものでは無いので、壁の傷や繋がりを平滑に仕上げるだけでどこまで改善できるのか試してみることにしました。
ただ、管の内側におそらくコルクを入れる際に反射板で付いたと思われる深い傷がありました。
中音Eの問題はここに起因するように思われます。

途中銀ろう層にスが出て来たりしましたが、殆ど形状を変えること無く平滑に仕上げることができました。

吹いてみると音の輪郭がはっきりしてコントロールもし易くなりました。
元の状態では曲を吹いていると無意識の内に音程等の修正をすることになり結構疲れたのですが、より自然に楽しめるようになりました。
これならば十分日の目を見ることもあるのではないでしょうか。

かつて会社で歌口製作を覚え始めた頃、このようなタイプの歌口をみんなクーパースタイルに削り直してしまったことを今となっては残念に思います。

最近自分の行なっているチューニング作業についてあれこれと考える事があるのですが、
今回のように頭部管が持っている本来の性能を引き出すという基本的な作業が私にとっても楽器にとっても一番幸せなのではないか・・・と感じる次第です。
もっとも基本的な作りがしっかりしていないとそれも叶わないのですが・・・

32 FMC 10K 頭部管

2015/11/10 5:02 に Yoshio Takamura が投稿

今回はフルートマスターズの10K(管厚0.35mm)頭部管です。

密度が高くマイルドな音色は気に入っているのだが低音がソフトで実在感が薄い点を解消できないかといった内容でした。
予備の楽器としてラファン+ムラマツDNをお持ちなのだそうですが、そちらは実在感やパワーはあるものの音色の魅力に乏しいということでした。

まず現状の音色を概ね気に入っていらっしゃる点と、ラファンの無機質な音色という表現が気になりました。

私の中ではラファンに対してそういった印象は無いのですり合わせが難しいと感じ、慎重に対応することにしました。


こういった場合は性格の違う両者を使い分けてご使用になることをお勧めするのですが、できれば1本の楽器ですべてに対応できることを望まれていたので、頭部管を送って頂き判断することにしました。


吹いてみるとなかなか良い感じの頭部管です。

しかし、確かに低音は倍音のある音は出るものの芯のない広がった感じですし、全体にまとまりのない音の印象でした。

音程も左手が下がる傾向がありました。

この歌口はMカットというタイプらしいのですが、穴の形状に対してライザーが高すぎる印象があります。

その辺も含めてあまり現状を変えずに問題を解決する手立ては浮かんだので少しずつ手を入れてみることにしました。

僅かな角度と表面状態を修正することで音程の問題も改善され低音もしっかりと出るようになりました。

極力元の状態を維持して変化しないように・・・というご要望であればこの状態で良いと思いました。

ただ私としてはもう少し息が入ってコントロールしやすい状態を良しと考えるので、もう少し手を入れたいところです。

その辺の確認をしたところ、もう少し息の入る状態になるならばその方が好ましいということなので、更に手を入れることにしました。

なるべく手を入れ過ぎないように次の段階に加工を始めたところ、思ったよりも癖のある形状だったので少し手間取りました。

それでも何とか狙うところに持って行くことができました。

その結果元の印象は薄れたもののよりコントロールのしやすい状態になりました。

最終的には私の思うようにとお任せいただいたのですが、果たして納得していただける状態なのか・・・

なかなかピリオドを打つことができず、少しでもマイルドで密度のある音に近づけるべく細かなエッジ調整を行いました。

非常に難しい課題でした。

31 YAMAHA 銀製頭部管の歌口交換

2015/11/02 18:14 に Yoshio Takamura が投稿   [ 2015/11/02 19:43 に更新しました ]

今回はS氏から何処で入手されたのか凸凹のヤマハの頭部管が送られて来ました。
これを使って木のコラボ頭部管にできないだろうか・・という相談でした。
本来は使えない歌口を外して木の歌口に交換するのが目的ですが、これは管の方のダメージが大きいようです。
それでも何とかなりそうなので着手することにしました。
それにしてもいたるところ凹だらけです。
反射板もどうすればこんな風になるのでしょう?
歌口の取り外し。
ヤマハはろう付けなんですね。
炙って変色した管も磨かずとも酸洗いで綺麗になります。

そして芯金を入れて叩いて擦って削って・・・
エンブレムもハンダ付けして磨きました。

反射板も磨いて外見は殆ど問題なく綺麗に仕上がりました。

いよいよ木の歌口を取り付けるのですが、何にしようか迷いました。
高さ出しとR合わせが済んでいてすぐに使えるキングウッドにしました。
できあがりました。


30 SANKYO N.RS1 K18 R. S.F.E.Tuning

2015/10/26 0:29 に Yoshio Takamura が投稿

今回は木製頭部管製作の合間に手掛けたスコティッシュ・チューニングです。
タイトルが数字とアルファベットだけになってしまいましたが・・・
三響ニューRS1タイプ、18金ライザー頭部管のスコティッシュ・チューニングでしょうか。
最近は殆ど使われずに眠っていた頭部管だそうです。
この歌口はリッププレートも穴の形も好きなのですが、吹いてみると薄っぺらなつまらない音がします。
中の作りも丁寧ですし、金のライザーを埋め込む技術も素晴らしいのですが・・・

内部の修正とネコ耳加工でだいぶ変わりました。
これでOKにしようかと思ったのですが、まだ薄っぺらな音の名残と低音に不満を感じたのでもう少し手を入れることにしました。
その後ほぼ満足の行く状態になりました。
サンキョウの持っている明るさは残っています。



29 SANKYO セミハンドメイド 頭部管

2015/10/13 6:22 に Yoshio Takamura が投稿   [ 2015/10/13 6:32 に更新しました ]

今回は、木製頭部管のご購入にあたり頭部管のTuningも必要であれば同時に・・・という事でした。


購入当初から低音域が出しづらく感じるのと、中音域のE、Fあたりがよくひっくり返ってしまい、安定しません。
また、
最高音域もかつてのヤマハより出しづらく感じます。
これまでずっと自分の技量不足と顎のトラブルが原因だろうと思ってきたのですが、先日楽器店でヤマハやアルタスの楽器数本を試奏する機会があり、自分のサンキョウよりも楽に吹ける機体があったことで、実は頭部管が自分に合っていない部分もあるのではないかとの疑いが芽生えました。
というわけで、楽器をお送りするのであれば、頭部管をチューニングすることで吹きやすくなる可能性があるのか、診断していただきたいのです。
その場合は、スコティッシュ化というのが非常に興味深く思われましたので、「不要」との診断でなければ積極的に採用したいと考えております。

ただしオーバーホールと同時に金メッキを施された直後ということでした。
タイミングとしては逆であれば良かったのですが・・・メッキの剥がれが生じる件についてはご確認いただきました。

さて、送っていただいた楽器を吹いてみますと確かにご指摘のような問題を感じました。
息が入らず吹き込むと飽和してしまい、音程も良くない状態でした。

中の作りを見た限りではそれ程ひどい状態では無いのですが、おそらく影響を及ぼしているであろう問題点は確認できました。
メッキの問題を考えると出来ればスコティッシュ化は避けたいので、先ずは形状の修正を行うことにしました。

微妙ではありますが全体的に手を入れなければ修正できず、結局はライザー全面とショルダーの部分はメッキを剥がすことになりました。
それでも見た目にはそれ程気にならない状態になりました。
この状態で音を出して確認したところ、問題はほぼ解消できました。
その後も気になる部分を吹きながら少しずつ手直ししたところ満足の行く状態になりました。
スコティッシュについても興味を示されていたのですが、メッキである事と問題の改善の状態からもその必要はないと判断しました。


28 Pearl forte 18K 頭部管

2015/09/27 7:22 に Yoshio Takamura が投稿

久々に日記を書きます。

ご依頼の内容は

自分は、パールオペラ総14K, 頭部管18K(forte)を使用しています。
こちらのフルートは中古で買った物ですが、中音域のHが20セント近く低くなったりします…。
また、全体的にどんな時も音の立ち上がりが丸過ぎて歯切れの良い感じを出そうとするとオーバーブローしてしまったりします…。
また大きな音は普通に出るのですが、息の入れられるキャパが少ない感じがするのです。
そのせいか、小さな音を出す際に負担が大きい感じがします…。
予想よりも少ない息で音を出さないとpppにならないという意味です。
音程は、H以外比較的良い印象はあります。

という事でした。

送っていただいた頭部管を吹いて確認したところ、上記の症状を同様に感じることができました。
特に左手の音程のぶら下がり感が強く、立ち上がりの悪さは素直に音がでない事に起因してPの出し難さににも通じるのだと思います。

中の作りを見てみると、最初それ程ひどくは無いと感じたのですが、実際に作業に入ってみるとかなり形が歪んでいました。
前後左右四面のいずれも中央部が膨らんだ何とも変な形状になっていました。
アンダーカットもかなり取ってありますが、中心がずれて曲がった様な美しくない形状でした。
かなり修正には手が掛かりました。

一通りの作業を終えて吹いてみると、当初の問題は殆ど改善されました。
とても明るく歯切れ良く活き活きとした表現ができるようになりました。
必要ならばスコティッシュ化へのご希望もあったのですが、その必要は無いと感じたので完了としました。

作業前に反射板の位置を確認したところ、私の17.0mmのゲージではかなり上方にずれていました。
最終的に位置を変化させて試してみましたが、17mmより長く(上にずらす)と左手の音程が低くなる傾向になりました。
最近殆どのメーカーがそれぞれに長めの位置にセッティングしているようですが、どういう基準でそうなっているのかは知りません。
以前こちらでも触れています。04 やっぱりベームは偉大だ!



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