10 Muramatsu 14K

2015/04/21 17:56 に Yoshio Takamura が投稿
先日生徒さんの楽器について仲介してくださった先輩から、ご自分の頭部管についてのご相談がありました。
20年以上前のムラマツの14K製頭部管ということでした。

不満に感じているのは,息の流れが窮屈に感じることと,音色が妙に現実的な点です。
状態を見ていただき,改善の見とおしをお知らせいただければ幸いです。

ということで、送られて来た頭部管は彫刻入りのものでした。
吹いてみると確かにおっしゃる通りの印象でした。
息を吹き込むと直ぐに音が返ってくるのですが、そこに何かしらの感情や思いを乗せることが難しい状態です。
この状態を『妙に現実的な音色』と表現されているような気がしました。
極端な言い方をすれば打楽器的とも表現できますが、もっと弦楽器的、あるいは声楽的な表現力が欲しいところです。

つくりを見ると内部にこの当時特有の問題が僅かに確認できました。
しかし全体的には最近の物より丁寧で綺麗な仕上がりになっています。

第一段階として気になる部分の手直しを終え確認してみました。
元の状態よりは息の入りも良くなり改善はありました。
ただ、『現実的な音』の感じは未だ残っている感じです。
最近の頭部管との設計の違いも音に現れているようです。

私の中ではスコティッシュ化によってこの問題は改善できるのではないかと感じています。
Scottish Fold Embouchure とはどのようなものか? と尋ねられると、明確にこうだとお答えするのは難しいのですが。
人によっていろいろな感じ方があるようですが、私が一番特徴として感じるのは息をいくらでも流すことができ許容量が大きくなる点です。
勿論あまり吹き込まず効率良く音にする省エネ的奏法にも対応しますし、クレッシェンドしながらヴィヴラートを深くかけていく際にも限りなく追従してくれる気がします。

・・・以上のような説明をさせていただいたところ

メールを拝見し,スコティッシュ化を希望します。
60歳を超えたころから,本番で省エネ奏法に破たんが起こる可能性を感じています(かろうじて踏みとどまっていますが)。
逆のように思えるかもしれませんが,筋肉の衰えによる“息の支え”が甘くなるのが原因だと考えております。
そうした場合,一定程度の許容量があれば,安心して音楽表現に集中できます。

・・ということでスコティッシュ化することになりました。

ほぼ狙った状態に近付ける事はできましたが、細部において気になる部分もあり何度か手を入れ直しました。
この状態で納得していただけると良いのですが。



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