04 BOSTON 2本

2015/02/28 4:06 に Yoshio Takamura が投稿   [ 2017/10/12 5:49 に更新しました ]
今回は Haynes と POWELL の2本同時のご依頼です。

1) ヘインズ・銀・ライザー14金・オリジナルナガハラのロッキング・クラウン

2) パウエル・オーラマイト(外9金・内銀)・リッププレート9金(ライザー銀)/ハンミッヒのマジック・クラウン

        *胴部管はヘインズ・総銀・ソルダード・1999年製(A=442

1) 吹くのに抵抗が強く、とにかくどの音も出しにくい。

  軽い楽器なので、どの音も軽やかに鳴るように改善して頂けましたら幸いです。

2) 低音域の音は朗々と出しやすいが、中音域途中から上の音が出しにくい。

  歌口の内側に縦に段のようなものが見られます。

  特に高い音が楽に綺麗に出せるように改善をお願いしたいと思います。


ということでしたが、1) についてはヘインズという楽器の特性もありますし、なるべくオリジナルの形を崩さずに問題点を修正するのみに留めることを前提にお引き受けしました。
2) についてはスコティッシュをご希望ということでした。

吹いてみると、ヘインズはひどく吹きづらいという印象では無いものの雑音が多く艶のない音です。
音程のコントロールも難しいようです。
パウエルはヘインズに比べると鳴りが良い印象ですが、コントロールもしづらく何処かに不具合というか問題があると思われました。

まずはヘインズから手掛けました。
作りはそれ程気になる状態ではないものの、壁の角度やコーナーの形の歪み、アンバランスが気になりました。
オーバーカット(ショルダー)はある程度取ってありますが、アンダーカットは全く無い筒状です。
こういう歌口こそ綺麗な形であることが重要だと考えられるので、ひたすらあるべき理想の形に近づけるように修正して行きました。

音を出してみるとかなり良い状態に改善され、この形としては十分に満足できるものだと思います。
これなら楽しく演奏できるのではないでしょうか。

さて、続いてパウエルに取り掛かることにしました。

中を見てびっくり!
左の画像の方がピントがあっていますが、実際には右の画像のように見えました。
これはもう何をか言わんや・・・
(パウエル独特のライザーの接合方法には触れません・・)
以前会社に居た頃、仕事を覚えたての後輩の手によってどうにも変な形になってしまった歌口をせっせと修正していたことを思い出してしまいました。
それでもここまでひどい事はなかったな・・・
これで中はなんとかまともになったので、ネコ耳加工に移りました。
形の修正とスコティッシュ化でかなりの改善がみられたと思います。
元の状態でオーラマイト云々と言われても、何がその特徴であるのかを把握するのは難しいと思われます・・・・・
材質による音の違いを宣伝するのであれば、是非とも均質な頭部管の提供を大前提にして欲しいものです。


それから、今回のお客様も特別なヘッドスクリューを使っておられたのですが・・・
ナガハラのロッキング・クラウンとG.ハンミッヒのマジック・クラウンについて調べてみたのですが、どちらも音を良くするのに絶大な効果がある様な説明があります。
ロッキング・クラウンについてはコルクの密閉性やクラウンの緩みどめの意味からは効果があるとは思います。
いずれにせよ、どちらもある程度状態の良い頭部管において『更にもう少し何かを変えたい』・・・という場合には好ましいと思われる変化を感じることはできるかもしれませんが、不具合のある頭部管をすばらしく変えることは不可能です。
手軽に交換するだけでもっと良くなる・・と言われれば試してみたくなるのは当然です。
もう少し良心的なお値段ならまだしも、かなり高額なようですし。
メーカーは本当に金額に見合う効果を信じているのでしょうか?
私にはユーザーの気持ちにつけ込んだ金儲けの手段としか思えません。
販売する側にも良心的なアドヴァイスをして頂きたいものです。
・・・と、こんなことばかり言ってるとますます煙たがれてしまうのでしょうね・・・

最近感じていることに、『初心者ほど的確に楽器の不具合を感じ取っているのではないだろうか?』という気がするのですが・・如何なものでしょう?



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