07 MIYAZAWA IBUKI

2015/04/10 17:42 に Yoshio Takamura が投稿   [ 2015/04/22 4:32 に更新しました ]
今回は大学の先輩から、その生徒さんの楽器についてのご相談がありました。

その生徒さんの楽器の状態があまり良くなくうまく対応できずに伸び悩んでいるいるが、楽器を買い換える訳にもいかないので頭部管のチューニングで何とかならないだろうか・・・という内容でした。

送られて来た楽器を吹いてみると・・・音程がぶら下がり気味で活き活きとした音が出ずに非常に吹きづらい印象でした。
楽器全体が効率の悪い鳴り方をする感じがしました。
IBUKIというモデルは割と最近の物だと思うのですが、以前手掛けた古い楽器と同様の印象があります。


つくりを見てみると・・・壁の内側にロウ目・ハンダ面というものが一切見当たりません!
おそらくライザーの一部がリッププレートを貫通して表面に出ている構造だろうと予想したのですが、ちょっと見ただけでは判別できません。
この画像でははっきり見えませんが、ルーペで見ると穴の周りに縁取りの様な筋状の部分が確認できました。

管との接合は前回のヘインズの修理で行ったのと同じ方法がとられています。
精度の高い機械加工が成されているようでパウエルよりも綺麗な仕上がりです。

おそらくMC(マシニングセンター)等による切削加工か精度の高い鍛造部品を使って最新の技術を取り入れているようです。
歌口内部に接合面や段差を無くし、材質にもAg980を使って最良の結果を狙っているのでしょうが、吹いた感じでは何ひとつその成果が現れていない気がします・・・
実は私の作っている木製頭部管の歌口にも全く接合部分が無く、それが良い結果を生んでいるのでは・・と考えた事があります。
この頭部管を見る限りではあまり影響は無いのかと思われます。

基本的な形状は非常に良いのですが、仕上げの状態に幾つかの問題が見つかりました。
とりあえずその部分を修正しつつ全体の形を整えました。
この状態で一度確認してみました。
元の状態に比べると非常に効率良く鳴るようになり、音程のぶら下がり感も解消されました。
これで完成にしても良いと思ったのですが、何か物足りないものを感じました。
その後いろいろなフレーズを吹いて確かめるに連れ、深みのない薄っぺらい音色が気になり始めました。
もう少し改善できる見込みも立ったので更に手を入れることにしました。
作業は夜遅くまで掛かってしまったので翌日確かめることにしました。

その結果更に良い方向に近付けることができました。
それでもなお根強く残る音の傾向はメーカー特有の個性と考えてよいのでしょうか?
形状的にはほぼ理想に近い状態になっているのですが・・不思議です・・・

沢山のメーカーが存在する中で、『その楽器の持つ潜在能力を最大限に引き出す』というTuningの役割としてはこれで良いのかもしれませんね。


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