13 アルトフルートの修理

2016/09/22 19:42 に Yoshio Takamura が投稿   [ 2016/09/26 7:57 に更新しました ]
今回はアルトフルートのご依頼です。
アームストロングの楽器で本体は洋白に銀メッキですが、頭部管は銀製です。

高音域がスムーズに出ない。
高音域の音色が固く、表現が難しい。中音域・低音域にそれほど不満はありません。
アルトフルートの高音域は、このようなものなのでしょうか?もうちょっと音楽的な音が出てほしいと思います。

という事でした。


送っていただいた楽器を吹いてみると、多少高音の出し難さは感じるもののそれ程気になる状態ではありませんでした。
作りに関しても特に問題になるようなところもありませんでした。
唯一気になるのは穴のサイズが大きいという点です。
この部分は手を加えて修正できるものでなく、むしろ手を加えるほどに大きくなる方向になってしまいます。
ですので今回は手を加えずに返却しても良いのではと考えていました。

ところが良く見てみると酷いロウ付けのスが見つかりました。

しかも角度を変えると穴の部分が光を通して貫通しているのが判りました。

この画像を送って状況をご説明し、次の選択肢から選んでいただく事にしました。

①それほど音に影響していない様なのでこのまま手を加えない。
②ロウ付け部分の修理をする。
 そのためには歌口を外して修理後付け直す必要がある事。
③適正な穴のサイズにするためにも歌口ごと交換してしまう。

結局この際せっかくなのでという事で③を選ばれました。

さて、新しい歌口を製作するにあたりアルト用のライザーが手元にありません。
台座も板から切り出し、筒も板を丸めて・・・等々いろいろな方法を考えてみました。
最も容易に実現できそうなのは、元の歌口からライザーを外して流用する方法です。
それには穴が大きいので何かで埋めて小さくしなければなりません。
板を内側に貼り付ける事も考えましたがなかなか難しそうです。
そこで以前製作途中で少し大きくなってしまった通常のフルート用のライザーを削ってはめ込む事にしました。
リッププレートの穴をけがいておおよその外形を削り出し、元の穴に収まるように合わせて行きます。

現物合わせで隙間と当たりを見ながらピッタリ合うまで少しずつ削って行きます。
ほぼ出来上がりました。

合わせた中筒と一緒にリッププレートにロウ付けしました。
少し出っ張っていますが、この部分が大き目の元の管の穴にピッタリ嵌ります。
ですので通常行う管の穴埋め作業を省くことができます。
まだ小さめのリッププレートの穴を削って行き、ライザーと共に既定のサイズに成形します。
(出来上がりの撮影を忘れてしまいました・・)

後は管にはめ込む感じではんだ付けすれば出来上がります。


全体に統一されたまとまりのある柔らかい音になりました。
高音も違和感なく吹けるようになったのではないでしょうか。
元の状態もそれ程悪くなかったのでより良くなったと感じて頂ければ良いのですが・・・




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