作業日記 2017

30 POWELL ピッコロ頭部管

2017/12/22 6:10 に Yoshio Takamura が投稿

前回のパールのフルートと一緒に送られて来たパウエルのキングウッド製9金メカのピッコロです。

・まずこちらも見た目で気になっている所が多々あります。穴の形が均等でないように見え、アンダーカットをスマホのライトで照らして覗いてみるとガタついてる箇所が見て取れます。ライザーの壁面も若干波打ってるように見えます。
・音程はどのピッコロにもよくありがちな事ですがCis、Dが低いです。サブで使ってるパールピッコロよりもその癖が顕著です。
音色は柔らかな音で気に入ってはいるのですがまとまりと音程をよくしたいです。

ということでしたが、下から上までちゃんと鳴り問題の無い状態に感じられました。
それでも中を見ると気になる部分もあったので、音の改善につながるかどうかは別にして修正することにしました。
とても綺麗なピッコロです。

ショルダーは平面でカットされてありますが特に問題ありません。
コーナー付近に僅かにガタつきが見られます。
アンダーカットの歪みも気になります。

これらをひと通り修正してみました。
アンダーカットの修正。
コーナーの修正。
ショルダーも少しだけ角を取りました。

手直しして吹いてみましたが、私にはあまり変化が感じられませんでした。
やはり元の状態に問題がない場合にはあまり変化は期待できないようです。
それでも普段から吹いているご依頼主には何かしら感じていただけるかもしれません。

** ** ** ** ** ** ** ** ** ** ** ** **

私がここで問題のある画像を出しているので、この作業日記をご覧になってご自分の楽器も同様なのでは・・
と心配される方もいらっしゃるようです。
何か問題を感じて確認するのであれば良いのですが、目に見える部分を気にして神経質になる必要はありません。
極端に言えば支障がなければ見た目はどうでも良いのです。
ですから私が頭部管の確認をする場合は、必ず最初に吹いてみるようにしています。
問題を感じた時にその原因となる個所を見つけ出すという順序は必ず守るようにしています。
そうでないと「こういう形だから音にも支障があるだろう・・」という先入観が働いてしまいます。

ご自分の楽器に問題を感じたら、できるだけ同機種あるいは色々な楽器を吹き比べてください。
その中で固有の違和感を感じたらその楽器に問題があると考えても良いでしょう。


29 Pearl 14K forte 頭部管

2017/12/22 0:25 に Yoshio Takamura が投稿   [ 2017/12/22 6:28 に更新しました ]

今回ご依頼の内容は

この歌口の気になっている所はまず見た目なのですがショルダーカットの断面がナイフで削った後の名残りの様な微妙に凸凹となっている箇所があり所々いわゆるスというものがあるように見えます。
エッジには傷はないのですがショルダーカットの縁に所々傷があるのが気になっています。
反射板に磨き傷のような筋があるのも気になります。
ジョイントの角を軽くぶつけた事があり歪みが出ていないか気になっています。
・購入当初から刻印辺りに浅い凹みがあります。
音色は大きな音が出て反応も良い方だと思うのですがポイントを外すとどこか詰まったような音になったり逆に2オクターブ目の音がシャーリングの多いガサツな音になりpでの発音が難しくなります歌口が大きいせいか息が入りすぎてブレスがきつく感じる時もあります。
・1オクターブ目のGやGis、3オクターブ目のDやEsが低くピッチコントロールがやや難しいです。
ピッチコントロールの面ではサブで使ってるパウエルのシグネチャーの方がまだ吹きやすいです。

まとまりの良い効率よく響く歯切れの良い音にしていただけたら幸いです。

ということです。


吹いてみると全体に芯のない平坦な音の印象でした。
音程の問題も感じます。
前回のバーカートにも少し似た傾向を感じました。

中を見ると以前扱ったものと同様の作りでした。
その時の記事では画像を載せてありませんが、アンダーカットが同様ですので音作りの狙いで形作られているようです。

この画像の上が手前の下、下がエッジ側の下を裏から見た画像です。
さらに角度を変えるとこの様に見えます。
先程「音作りの狙いで・・」と述べましたが、あくまでもたまたまこの様になってしまった訳ではないという意味です。
私も以前にアンダーカットの位置を前や後ろにずらしたり、挙句の果てに「Wアンダーカット」と称して左右二つずつの谷を形成してみたこともあります。
どれも良い効果をもたらすことは無く、センターに綺麗に形作るのが一番だと分かりました。
手前のライザー面はこの様になっています。
この状態を完璧に修正するのは不可能ですし、あまり手を加えると穴が大きくなってしまいます。
悪い影響を与えない程度に慎重に修正を行いました。

手を入れるとライザー面が凸凹でかなり歪んでいます。
大きくならない様に少しずつ・・面を整えるのはかなり根気が要りました。
こちらは正面の下側。
だいぶすっきりしました。
こちらが手前の下側ですが、これ以上は難しい様です。
全体としては何とかまともな形になりました。
元の状態では音が広がって薄く感じる印象でしたが、しっかりとまとまり反応も良くなったと感じます。
弱奏でも響きを保ってコントロールできるようになったと思います。
リッププレートの全面が折れ曲がったような形状のせいなのか、特殊な倍音を感じますがとても明るい音の印象です。
さらにパワフルになった印象ですが、表現の幅は広がったと思います。

28 Lillian Burkart 頭部管

2017/12/18 21:05 に Yoshio Takamura が投稿

今回は普段とは少々変わった内容のご依頼です。
今までにも調整をさせて頂いたことのある方なのですが、最近長時間吹くと疲れるようになって来たので、もっと楽に吹ける楽器を求めて今回の頭部管を選ばれたということです。
腹圧をかけなくても楽に鳴らせて長時間吹いても疲れないという点が最大の長所ということで、音色の魅力は感じていないようです。
それでも雑音と見た目のハンダの部分が気になるということでした。

実際に吹いてみると困った状態でした。
確かに腹圧をかけずに楽に吹ける・・と仰る感覚は分かるような気がしました。
太い息の流れの中から音になる効率が良い気がします。
ただそれ以上の事をしようとすると何も反応しなくなってしまう感じがあります。
もっと芯のある音を作ろうとヴィヴラートをかけて行くと、その分は息漏れの雑音となってしまい音に反映されない感じです。
例えば、Faure/ Fantasie の冒頭 H の音を次に向かって表情を付けようとしても、キーボードを弾いているようで何もできない感覚です。
ピアノの鍵盤を押さえて単音を伸ばす時、思わず指でヴィヴラートかけてしまう感覚に似ています。(無駄とは知りながら・・)
また、Bizet/ Carmen 前奏曲を自分のイメージで吹こうとすると、最初の Es の音がひっくり返ってしまい音になりません・・・

こういった状況ですので、私にはこの楽器が良いとは感じられません。
初めて楽器を持つ初心者が吹く分には「鳴らし易い」と感じるかもしれませんが、楽器としてはお薦めできない気がします。
私は初心者用の楽器という区別はしたくないので、この頭部管の位置づけに非常に悩みます。

こうやって見る分には特に問題はありません。
正面右コーナー近くにはっきりした傷が見えます。
角度を変えるとライザーの面が波打って見えます。
中を見ると・・
下のコーナーがえぐれて膨らんで見えます。
反対側も真っ直ぐではありません。
コーナーのハンダ部分が黒く見え隙間の様です。
ハンダがまわっていないというよりも、取り残しの部分が変色して幅広に見える様です。

これではいくら吹き易いといっても楽器として問題のある状態だと思います。
ともすると吹き易いと感じられる印象は変わってしまうかもしれませんが、この状態を放置するわけにはいかないので修正することにしました。

すっきりとした面になりました。
まだ少し気になる部分もありますが最小限の手を入れるのみで止めました。
波打った感じは無くなりました。

元の状態に比べると少しだけ表現や音色を変化させることができるようになったようです。
思い通りに表現するには非常に難しい頭部管ですが、楽に音が出せるという傾向は変わっていないと思います。
今回の目的からするとこの状態で良いのかと思います。
もしもこの頭部管をメインとして使える状態に・・というご要望でしたら非常に難しく納得のいく状態には出来ないかもしれません。

私の元へやって来る頭部管は殆どが何かしら問題のあるものばかりです。
良い状態のバーカートはこの様な傾向でしかも自由にコントロールできる頭部管なのでしょうか?



27 ピッコロ頭部管のチューニング

2017/12/01 5:27 に Yoshio Takamura が投稿   [ 2017/12/01 5:34 に更新しました ]

今回はヤマハの YPC-81 とマスターズの頭部管の2本です。

どちらもそれ程ひどい状態ではなかったのですが、ヤマハは高い方は鳴るのですが中・低音がスカスカでした。
マスターズの方も少し開き気味の音で、高い方が少し鳴らし難い感じでした。
ヤマハの中を見ると特に問題も見当たらないので、割れの修理もあることですし仕方ないのかな・・と思い手をつけないでおきました。

マスターズは少々気になる部分があったので修正することにしました。

左右のアンダーカットの終端が前の壁にまで干渉しています。
鏡で見るとこの様になっていて面もガタついています。
アンダーカットも面で切り取ったような感じです。
この辺りを修正してみました。
一つの面になりました。
鏡で見るとこんな感じです。
滑らかな面になりました。
ニュー・ウェーブというタイプです。
慣れないと少々ポイントをつかみ難いのですが、良く鳴る印象です。
高音も鳴らし難い感じは無くなりました。
元の状態もそれ程悪くはなかったので、あまり大きな変化は感じられないかもしれません。

こちらが終わって改めてヤマハを吹くと、あまりにスカスカなので何とかしたくなりました。
僅かに気になる部分に手を入れてみましたが、あまり変化はありませんでした。
このスカスカした音は・・・もしやと思い接続の状態を見てみました。
やはり接続チューブのすり合わせが緩い状態でした。
少し前に作ったエキスパンダーで調整すると、だいぶしっかりした音になりました。
ヤマハなのでそれ程バラつきは無いものと高を括っていましたが、気をつけなければいけません。




26 SHERIDAN 頭部管

2017/11/13 5:08 に Yoshio Takamura が投稿

前回のブランネンと一緒に送られて来た頭部管です。
本番を前にしてあのオリジナルの頭部管では不安を感じたために、急遽このシェリダンを使われたそうです。
比較すればこちらの方が良いものの、多少問題も感じられるということで一緒に見ることになりました。

確かに音程等の機能的な問題はあまり感じないのですが、全体に芯の無い薄っぺらな音の印象でした。
その後チューニングを終えたブランネンと比較すると、最初の印象とは逆転してかなりこちらの方が問題を感じる様になりました。
かつてのパユと同じ組み合わせですが、さすがにこの頭部管ではあのような演奏をすることは難しいと思われます。

前方のコーナーが角ばった変わった形状です。
私も以前、エッジの有効長を増やすために同様の形状の歌口を試した事があります。
もしかすると同じような狙いがあったのかもしれません。
以前扱ったシェリダンとは形状は異なりますが、ショルダーやアンダーカットが丸くなく平面で切り取られた様になっているところは一緒です。
中の形も前後(画像では左右)でかなり違っています。
矢印で示したコーナーの面のつながりが気になります。
ライザー正面の細かい傷も気になります。

音の傾向は特殊な形状に因るところが大きいのでしょうが、これらの部分を修正する事で変化は期待できそうです。
細かいキズは無くなりました。
できるだけ角張った部分を無くして丸くしました。

形状に因る特徴はあるものの、元の状態よりは表現力がUPした感じです。
ブランネンとの比較の印象もまた変わり、長く吹いているとこのシェリダンの方が面白く感じられる様になりました。
基本的な問題が解消されることにより、初めてそれぞれの個性を感じて楽しめるようになったと思います。


25 Brannen 頭部管

2017/11/11 1:37 に Yoshio Takamura が投稿   [ 2017/11/11 4:07 に更新しました ]

ブランネンの14K ライザー付銀製頭部管です。
・オクターブ跳躍やレガートはきまりやすく、最高音域の発音もしやすい(ハイDも楽に出ます)
・広い音域にわたって、音色の均質性はよく保たれる
・しかし全体に音が細く、いつもつまったような感じがして、特に中音域の音が抜けていかない
・全体にダイミクスのニュアンスをつけられる幅が狭い。
 音量がほしいときには音色を犠牲にして吹かなければならなくなる
・最低音域の Es より下がぶら下がりやすく、特にD以下はコントロールが難しい
・音域によるポイントの違いがかなりあるようで、長く吹いていると疲れを感じやすい
ということでしたが、実際に吹いてみるとほぼご説明通りの状態でした。
印象としてはもっと困った状態で、全体につまった音の印象です。
中音域は息を十分に流すことができず、吹き込むと裏返ってしまいます。
ちょうど調整に来ていたヤマハの211の方がよっぽど良い感じでした。
(というよりもヤマハの211の頭部管は良い作りですし、楽器としても十分に使えるものだと思います。)


裏には Elizabeth Watson 氏のイニシャルが刻まれています。
管とライザーのハンダ付け部分に幅広くハンダが残っています。
反対側から見ると波打ったような状態に見えます。
アンダーカットのコーナー(丸を描いた部分)に変形が見られます。
こちらもなんとなく歪んでいます。

これらを修正すべく手を入れて行くと、四隅の面のつながりに問題を感じました。
これは手を入れた後の画像ですが、上の画像と殆ど変わりません。
アンダーカットの一番奥の管を削ってある部分にナイフもヤスリも届かず、そのまま残っています。
後ほど管の内側を磨いて修正できました。
反対側は綺麗な形になりました。
ハンダ面も綺麗になりました。

仕上げて吹いてみると、全く問題を感じなくなりました。
制約を感じることなく、いろいろな表現ができるようになったと思います。

24 TAKEZAWA NS ピッコロ頭部管

2017/11/06 4:49 に Yoshio Takamura が投稿   [ 2017/11/06 5:44 に更新しました ]

竹澤のピッコロはこれで3本目になるでしょうか・・
今回は NS というモデルです。

中低音は良い感じで鳴るのですが、高音の A から上が非常に鳴らし辛い・・というよりも出ない状態です。
ここまで出し難いと何か問題があると思わざるを得ません。

穴の縁、特にエッジ部分が気になります。
手前下とコーナー付近に筋状のキズと変形があります
エッジ側下もこの様になっています。
接続管と木部の境目に接着剤のような物が見えますが、修理痕でしょうか?
これらを修正すれば高音ももっと出し易くなるように思われます。

矢印で示した部分のリッププレート形状の縁が途切れて、管と同一面になっています。
手で削り出している様に見えますが、削り込みが浅過ぎて磨く際にダレ込んでしまったのでしょうか・・
ついでに手直しすることにします。

穴の下の形状を整えました。
接続管内部も綺麗にしました。

表面状態とエッジ部分も滑らかになりました。
リッププレート部分もつながりました。

音を出してみると、最高音もストレスなく楽々と鳴るように・・という程ではありませんが、普通に使用できるレベルにはなったようです。

竹澤のピッコロは黒檀を使っているようですが、このピッコロは茶色の斑が多く綺麗です。
黒檀(エボニー)は原産地によって色々な種類があるのですが、この材質は何でしょう・・
一番奥がカメルーンエボニーで真ん中が本黒檀です。
本黒檀が近いように思われますが、判別は難しいですね。







23 AUG.RICH.HAMMIG ピッコロ頭部管

2017/10/13 6:07 に Yoshio Takamura が投稿   [ 2017/10/13 17:15 に更新しました ]

先日行われた菅原潤氏のピッコロイベントの際にご相談を受け、明らかな作りの問題が確認できたのでお預かりしました。


特に低音域の鳴りに問題が感じられました。
全体に輪郭がぼやけたような印象です。

表面の導管が穴の縁やエッジに干渉しているのが気になります。
正面の壁と管の内側に粗さを感じます。
そして手前左下のコーナーの変形も気になります。
これらを修正すれば現状よりも良い状態にできると確信し、作業を始めました。

だいぶすっきりとした形に修正できました。
管の内側と正面の壁もほぼ綺麗になりました。
エッジ付近の表面状態も元よりは綺麗になりました。

音を出してみると、低音もしっかりと鳴るようになり全体に均質の響きになったようです。
高音もより鳴らし易くなったように思います。

これでこの楽器本来の鳴りが引き出せたのではないでしょうか。




22 Muramatsu DN 頭部管

2017/09/15 5:47 に Yoshio Takamura が投稿   [ 2017/09/15 7:45 に更新しました ]

今回は Tuning 作業を行ったわけでは無いのですが、こういった事例もあるということで紹介させていただきます。

前置きが長くなりますが・・・
今回ご依頼いただいたのは、以前私が手放したファゴットをお買い上げ下さった方なのです。
もう20年以上前になりますが、当時ファゴット吹きとしてアマチュアオーケストラやアンサンブルを楽しんでいたのですが、会社の中で歌口課に配属されることになりフルートに専念することにしました。
割と良い楽器だったので眠らせて置くのも勿体ないので売りに出したのですが、それを引き取っていただいたのがこの方だったのです。
当時は四国にお住まいだったと記憶していますが、現在は岩手県に移ってフルートとファゴットの両方を演奏されているそうです。
所属されている市民オーケストラに、トレーナーとして指導に行った菅原潤氏からたまたまこちらの状況を知ったそうです。

・・という経緯でご連絡をいただきました。

ご依頼の楽器は1992年に中古でご購入されたムラマツの33,000番台のDNでゴールドリップ付きの頭部管です。

音色は太めで暖かみがあるのですが、芯が薄いとでも言うのか、オケの中では通りづらく、低音域のソロでは苦労します。

ということで、楽器を送っていただくことになりました。


早速状態を確認したところ、特に問題のある頭部管ではありませんでした。
むしろニュアンスもつけ易くとても良い感触です。
確かに最近の頭部管と比べるとご相談されたように感じられるかもしれませんが、この形状の歌口としては良い状態だと思いました。 性格の違う音を求めるのであれば別の頭部管に交換するべきですし、この頭部管を今風に変えてしまうことは躊躇われます。
このまま何もせずにお返ししても良かったのですが、歌口内部に少し仕上げの粗い部分もありますし、管の凹みも修理してお渡しすることにしました。

かなりくっきりと凹んでいます。
その他にもキズや軽い凹みもありました。

中は綺麗な仕上がりです。
こちら側は僅かにガタつきが感じられます。

先ず管の修正をしてから歌口も磨き直す程度に手を入れることにしました。

手を入れると少し気になるキズが見つかりました。
吹いた感じでは特に問題は無かったのでそれ程悪影響を及ぼしてはいないようですが、修正すれば多少の変化は期待できそうです。

気になった傷を取りました。
それ程変化はありませんが、平滑に仕上げました。

管も綺麗になりました。

管の内側も細かい傷が気になったので目立たない程度に仕上げました。

仕上がってから吹いてみると、元の状態ではやや開いた感じの音が少しまとまった様に感じました。
少し前に菅原潤氏のところで吹いたオールド・パウエルにも似た感触です。

今回は他の部分のついでに少しだけ手を入れることになりましたが、基本的に問題の感じられない頭部管については、手を加えずにそのままお返しすることもあります。
当然のことではありますが、それが製作者に対するせめてもの respect だと考えております。




21 Lafin 頭部管

2017/09/13 6:17 に Yoshio Takamura が投稿

今回初めてラファンの頭部管を扱うことになりました。
ラファンの初期に作られた物らしいということで、ムラマツのDNでご使用とのことです。

低音は特に角度を切り替えないと鳴りにくいです。
メーカーが違うので仕方ないことと思いますが音の移行に気を使います。
音のひっくり返るのを気にせず、もっと楽に吹けるようになればな…と。
ムラマツでは難なく出来ることがラファンだとひっかかることがあります。
しかしラファンの音色が好きなので、もっと吹きやすくなったらこんな嬉しいことはないです。

現在はブラネンからもラファン頭部管として販売されているようですが、本人の作られたものでこの様な問題のある頭部管があるとは思ってもみませんでした。
作られたものはすべて本人が吹いて確認しているはずなので、不具合のある頭部管が世に出ることはないのでは・・と勝手に思い込んでいました。

実際に送られて来た頭部管を吹いて驚きました。
非常に詰まった感じで息を流すことができません。
吹き過ぎるとすぐにひっくり返ってしまいます。
お客様が感じられていた通りの状態です。
音程も p で吹くと左手の音程のぶら下がりが顕著に現れます。
ラファンに関してはそれ程多くの頭部管を吹いたことはありませんが、この様な状態ではありませんでした。
それでもラファンの音色が感じられるのは不思議です。

アドラーとライザーは金のようです。
リッププレートの傷は気になりますが、音に影響する場所ではないようです。

ライザー正面、管との境目付近にキズがあります。
どうして此処にこの様なキズがついたのか?

アンダーカットがだいぶ小さい様です・・と思ってこの画像を見ていると
左上のコーナー部分にも何かあるのに気付きました。
上下を逆にして見ると、この様なキズがありました。

このところ3件続いたメーカーの異なる頭部管ですが、どれも状態が似ているようです。
クーパーカットでありながら、アンダーカットが小さめで何処かにキズや形の乱れがある状況ですが、同じ様な不具合を感じる頭部管に仕上がっています。

ラファンに関しては、本人が吹けるということが大きな強みだと考えていたのですが、これは単なるチェック漏れだったのでしょうか?
これが本当に製作初期のものだとすると、試行錯誤の中の不具合であったと解釈することもできますが・・

それから、管の凹みを直す際に気づいたのですが、接続部分の内径が細い様です。
特にひどく凹んだり歪んでいる訳ではなさそうなので、チューニング後の音の状態で手を入れるかどうか判断することにしました。

キズを取りアンダーカットも広げました。

正面のキズも綺麗になりました。
ライザーの金はピンクがかった淡い色で、削った感触も柔らかく感じたのですが何ゴールドなのでしょう?
ブラネンのカタログにはローズゴールドという表記がありますが、それでしょうか。


今まで数本のラファンを吹いたことがありますが、何れもゴールドの頭部管でした。
出来上がった頭部管を吹くと、以前吹いたことのあるラファン同様の感触になりました。
元の状態で感じた不具合は改善できました。
接続の内径による不具合も感じられないのでこのままにすることにしました。
初期の作ということから、頭部管を成形する芯金が当初細めであったのか、或いは現在も同様だとするとそういう設計だということになります。
もしそうだとすると、通常よりもテーパー部分を長くして何らかの効果を狙っていると考えることができます。
その分管の厚みも増やすことになります。
狙いだとすればさすがと思うのですが・・・
検証してみたいと思います。

この部分を見ればラファン本人が作った物かどうか分かるそうですが・・私には分かりません。






1-10 of 30