02 POWELL 頭部管

2017/05/01 18:32 に Yoshio Takamura が投稿   [ 2017/05/02 7:27 に更新しました ]
今回のご依頼は、ヤマハのYFL-714に合わせてご使用のパウエル銀製頭部管(フィルハーモニー)です。

吹奏楽団の中で吹いたときに、周りの音に埋もれてしまう、音量や響きが足りない、と思うようになりました。また、私の技術のためもあるかと思いますが、音につやというか色気がない、とも思います。

という事で、色々な音質を向上させるという商品を試されたようです。

まず最初に感じたのは異様な重さです。
接続の太さからヘヴィー管のようですが、それにしても有り得ない重さでした。
吹いてみるとかなり左手にずっしりと負担の掛かるバランスです。
音自体はそれ程ひどい感じではありませんが、確かに響きは少なく左手の音程もぶら下がります。

試しに追加されたパーツを取り外して試すことにしました。
左から順に
・アトリエヤナギサワ「象牙製ドーム型ワッシャー」
・カワベフルート工房「ヘッドスタビライザー」
・ムジカテラシマ「タングステン製トーンコントローラー」
・タングステン製クラウン
というものです。
これだけで35.7gありました。

さらに
ナツキフルートの24金製パラボラ共鳴管フォルテ2が加わり、
56.9gになりました。
頭部管単体の重さは64.0gですので併せて120.9gということになります。
通常のコルクとクラウンですと24.1gですので併せて88.1gです。
高々32.8gの違いですが、ほぼ管端に集中するのでかなりの差異を感じます。

試しにフォルテ2以外のパーツをすべて外して吹いてみると・・
音量も上がり響きも豊かになりました!
これだけで響きと音量に関してはかなり改善してしまいました。
複数の重りのようなパーツが重なってかえって響きを抑えてしまっていたようです。
ただ音程に関してはまだ問題があるので中を見てみました。

ざっと見ただけでもライザー面の歪みが感じられます。
中を覗くとヤスリの縦キズがそのまま残った状態です。

パーツ交換の際に、この頭部管はリッププレートが交換されているかもしれないと指摘されたようですが、
これはまぎれもなくよく見られるパウエルのつくりです。
※ページ一番上の ”このサイトを検索” という四角に ”POWELL” と入力すると関連記事を見る事が出来ます。

この一目瞭然の問題点を修正すればかなりの改善が期待できそうです。

少しずつ丁寧に修正して行きました。

アンダーカットのガタつきと前後の壁の凹凸歪みを修正しました。
これで全く問題の無い状態になりました。
パウエルらしい力強く華やかな音色です。

単なるコルク栓とフォルテ2を交互に比較してみましたが、わずかに変化を感じる程度でとても価格に見合うような効果を感じる事はできません。
反射板の形状がパラボラと謳っている様に、サンキョウの凹面の反射板に感じたのと同様に、多少高音が派手になる印象はあります。
確かに変化はありますが、音量が増してすばらしく良く鳴る様になるとは思えません。
最終的に変化を期待して装着し、その結果が目的と合致した場合にはすばらしく感じられるかもしれませんが、それにしてもこれに ¥250,000 の価値は見出せません。
今回のお客様は14K→18K→24Kとアップグレードされたそうですが・・・
あたかも材質や純度(=価格)によって効果もアップするような宣伝は如何なものでしょうか?

簡単に装着して効果を確かめられるグッズは確かに魅力的ですが、あくまでもそれは変化であって良くなるという保証はありません。
例えば、「音が重くなる」という物がありますが、ほとんどが物理的に重量が増すだけで単なる重りに過ぎない様です。
果たして重い音とはどんな音なのでしょう?
重量バランスを変えて効果のある場合もありますが、その材質にまでこだわる必要があるのでしょうか?
しかも本来ならそこで塞いでしまえば良い筈の反射板以降の問題です。

以前コルク栓の影響を試すために、反射板を管に直接ハンダ付けしてみたことがあります。
比較しても特にどちらが優れているとは感じられませんでした。
その結果コルクが振動を吸収してしまうといった印象はありませんでした。
空気が漏れることなくしっかりと塞がれていることが最大の役目だと思います。

色々と出回っている音色(音質)改善グッズは、あくまでも味付け的な変化を楽しむ物であり、楽器の性能を改善するような効果はほとんど期待できないと考えた方が良いと思います。



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