17 POWELL AURUMITE

2017/08/28 5:23 に Yoshio Takamura が投稿   [ 2017/08/28 6:18 に更新しました ]
今回の Aurumite は表面銀・内側が金で14Kリップ付きのものです。

音がガサガサとした印象でざらつきがある感じです。
「音色の均一感に乏しい」つまり、音域によって音色が普通以上に変わってしまう感じがする。
「音程に問題があるように思える」。
「時として音が痩せて薄っぺらい。」
もう一方の頭部管と比べると、吹くのを途中でやめたくなってしまう時もあります。

ということでした。
もう1本お持ちの Aurumite と比べて違いがあるようですので、おそらく何か問題があると思われます。

送られて来た頭部管を吹いてみると、最初の印象はそれほど悪くはありませんでした。
ただ色々と試していると、ご指摘の不具合を感じるようになりました。
表情やニュアンスを変えようとしても応えてくれず、無機質な音のイメージです。
中音左手の音程が低くなる傾向もあります。


中を見ると、以前にここで取り上げたようなひどい状態ではありませんでした。
それでも気になる部分はいくつか見られます。
ライザー正面の中央にキズのような状態が見られます。
そして反対側にもキズとロウ付けのスがあります。
この頭部管は管の穴にライザーの突起をはめ込んで溶接してあります。
管の穴とライザーとの隙間が溝の様になっています。
段差を取るために管内を研磨したと思われる傷跡(ペーパー目)が気になります。
綺麗な状態に仕上げるには、もっと精度を上げて手間を掛けなければならないと思うのですが、なぜこのような手法を取っているのか良く分かりません。

この辺を修正して行けば問題は改善できそうです。
ライザー面にナイフを軽く当てて行くと・・
サイドのリッププレートとの境目辺りに凹んだ部分があります。
正面にも凹んでナイフの当たらない部分が現れます。

これらを完璧に直そうとすると、どうしても穴が大きくなってしまうので慎重に進めます。
形が整ってくるとより細部が気になるので、どうしても没頭して完璧を目指す方に向かってしまいます。
手を入れるポイントをよく考えて冷静に妥協点を見つけなければならないのですが、これが中々難しいところなのです。
この14Kゴールドは結構硬く感じました。

ほぼ滑らかな面になりました。
ロウ目のスもある程度目立たなくなりました。
そして内側もできるだけ滑らかにしました。


作業を終えて吹いたところ、当初の問題は改善できたようです。
部分的に感じられて少々不快な感じのする倍音でしたが、全体に均一に乗っかるようになり響きとして感じられる様になりました。
今まで手掛けて来た中で感じる Powell、その中でも Aurumite に共通する響きがあるようです。

今回のご依頼は中国でお仕事をされている方からのものでした。
海外とのやり取りもまだありませんし、ましてや中国との楽器のやり取りは躊躇されましたので、ちょうど日本に一時帰国されるタイミングに合わせて行う事になりました。
約一週間の滞在期間の中ですので、ほぼ通常と変わらない作業時間でしたが、タイムリミットがあると緊張するものですね。

この結果に満足して頂ければ良いのですが・・・







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