22 Muramatsu DN 頭部管

2017/09/15 5:47 に Yoshio Takamura が投稿   [ 2017/09/15 7:45 に更新しました ]
今回は Tuning 作業を行ったわけでは無いのですが、こういった事例もあるということで紹介させていただきます。

前置きが長くなりますが・・・
今回ご依頼いただいたのは、以前私が手放したファゴットをお買い上げ下さった方なのです。
もう20年以上前になりますが、当時ファゴット吹きとしてアマチュアオーケストラやアンサンブルを楽しんでいたのですが、会社の中で歌口課に配属されることになりフルートに専念することにしました。
割と良い楽器だったので眠らせて置くのも勿体ないので売りに出したのですが、それを引き取っていただいたのがこの方だったのです。
当時は四国にお住まいだったと記憶していますが、現在は岩手県に移ってフルートとファゴットの両方を演奏されているそうです。
所属されている市民オーケストラに、トレーナーとして指導に行った菅原潤氏からたまたまこちらの状況を知ったそうです。

・・という経緯でご連絡をいただきました。

ご依頼の楽器は1992年に中古でご購入されたムラマツの33,000番台のDNでゴールドリップ付きの頭部管です。

音色は太めで暖かみがあるのですが、芯が薄いとでも言うのか、オケの中では通りづらく、低音域のソロでは苦労します。

ということで、楽器を送っていただくことになりました。


早速状態を確認したところ、特に問題のある頭部管ではありませんでした。
むしろニュアンスもつけ易くとても良い感触です。
確かに最近の頭部管と比べるとご相談されたように感じられるかもしれませんが、この形状の歌口としては良い状態だと思いました。 性格の違う音を求めるのであれば別の頭部管に交換するべきですし、この頭部管を今風に変えてしまうことは躊躇われます。
このまま何もせずにお返ししても良かったのですが、歌口内部に少し仕上げの粗い部分もありますし、管の凹みも修理してお渡しすることにしました。

かなりくっきりと凹んでいます。
その他にもキズや軽い凹みもありました。

中は綺麗な仕上がりです。
こちら側は僅かにガタつきが感じられます。

先ず管の修正をしてから歌口も磨き直す程度に手を入れることにしました。

手を入れると少し気になるキズが見つかりました。
吹いた感じでは特に問題は無かったのでそれ程悪影響を及ぼしてはいないようですが、修正すれば多少の変化は期待できそうです。

気になった傷を取りました。
それ程変化はありませんが、平滑に仕上げました。

管も綺麗になりました。

管の内側も細かい傷が気になったので目立たない程度に仕上げました。

仕上がってから吹いてみると、元の状態ではやや開いた感じの音が少しまとまった様に感じました。
少し前に菅原潤氏のところで吹いたオールド・パウエルにも似た感触です。

今回は他の部分のついでに少しだけ手を入れることになりましたが、基本的に問題の感じられない頭部管については、手を加えずにそのままお返しすることもあります。
当然のことではありますが、それが製作者に対するせめてもの respect だと考えております。




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