28 Lillian Burkart 頭部管

2017/12/18 21:05 に Yoshio Takamura が投稿
今回は普段とは少々変わった内容のご依頼です。
今までにも調整をさせて頂いたことのある方なのですが、最近長時間吹くと疲れるようになって来たので、もっと楽に吹ける楽器を求めて今回の頭部管を選ばれたということです。
腹圧をかけなくても楽に鳴らせて長時間吹いても疲れないという点が最大の長所ということで、音色の魅力は感じていないようです。
それでも雑音と見た目のハンダの部分が気になるということでした。

実際に吹いてみると困った状態でした。
確かに腹圧をかけずに楽に吹ける・・と仰る感覚は分かるような気がしました。
太い息の流れの中から音になる効率が良い気がします。
ただそれ以上の事をしようとすると何も反応しなくなってしまう感じがあります。
もっと芯のある音を作ろうとヴィヴラートをかけて行くと、その分は息漏れの雑音となってしまい音に反映されない感じです。
例えば、Faure/ Fantasie の冒頭 H の音を次に向かって表情を付けようとしても、キーボードを弾いているようで何もできない感覚です。
ピアノの鍵盤を押さえて単音を伸ばす時、思わず指でヴィヴラートかけてしまう感覚に似ています。(無駄とは知りながら・・)
また、Bizet/ Carmen 前奏曲を自分のイメージで吹こうとすると、最初の Es の音がひっくり返ってしまい音になりません・・・

こういった状況ですので、私にはこの楽器が良いとは感じられません。
初めて楽器を持つ初心者が吹く分には「鳴らし易い」と感じるかもしれませんが、楽器としてはお薦めできない気がします。
私は初心者用の楽器という区別はしたくないので、この頭部管の位置づけに非常に悩みます。

こうやって見る分には特に問題はありません。
正面右コーナー近くにはっきりした傷が見えます。
角度を変えるとライザーの面が波打って見えます。
中を見ると・・
下のコーナーがえぐれて膨らんで見えます。
反対側も真っ直ぐではありません。
コーナーのハンダ部分が黒く見え隙間の様です。
ハンダがまわっていないというよりも、取り残しの部分が変色して幅広に見える様です。

これではいくら吹き易いといっても楽器として問題のある状態だと思います。
ともすると吹き易いと感じられる印象は変わってしまうかもしれませんが、この状態を放置するわけにはいかないので修正することにしました。

すっきりとした面になりました。
まだ少し気になる部分もありますが最小限の手を入れるのみで止めました。
波打った感じは無くなりました。

元の状態に比べると少しだけ表現や音色を変化させることができるようになったようです。
思い通りに表現するには非常に難しい頭部管ですが、楽に音が出せるという傾向は変わっていないと思います。
今回の目的からするとこの状態で良いのかと思います。
もしもこの頭部管をメインとして使える状態に・・というご要望でしたら非常に難しく納得のいく状態には出来ないかもしれません。

私の元へやって来る頭部管は殆どが何かしら問題のあるものばかりです。
良い状態のバーカートはこの様な傾向でしかも自由にコントロールできる頭部管なのでしょうか?



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