33 Muramatsu DN 頭部管

Post date: Nov 12, 2015 2:19:55 AM

今回は40年程前のムラマツDNモデルの頭部管です。

以前にも違う頭部管をチューニングさせていただいた方からのご依頼で、殆ど使わずにいた物を久々に吹いてみたところなかなか良いと感じたので必要があれば手を入れて欲しいという事でした。

最初に吹いてみた印象では如何にもいにしえのフルートの音がして懐かしい感覚がありました。

この当時の頭部管にありがちだった中音Eのひっくり返る現象もみられ曲を吹くにはコントロールも難しいと感じられました。

その後改めて吹いた際には柔らかく甘い音色が心地よく感じられ、これでもう少しコントロールがし易くなれば面白い頭部管になると思いました。

決して刺激的で強い音は出ませんがそれ程音量が乏しいというわけではありません。

作りを見てみると、穴の形はとても整っていてバランス良く修正する必要のない状態です。

大きさや角度もそれ程理想とかけ離れたものでは無いので、壁の傷や繋がりを平滑に仕上げるだけでどこまで改善できるのか試してみることにしました。

ただ、管の内側におそらくコルクを入れる際に反射板で付いたと思われる深い傷がありました。

中音Eの問題はここに起因するように思われます。

途中銀ろう層にスが出て来たりしましたが、殆ど形状を変えること無く平滑に仕上げることができました。

吹いてみると音の輪郭がはっきりしてコントロールもし易くなりました。

元の状態では曲を吹いていると無意識の内に音程等の修正をすることになり結構疲れたのですが、より自然に楽しめるようになりました。

これならば十分日の目を見ることもあるのではないでしょうか。

かつて会社で歌口製作を覚え始めた頃、このようなタイプの歌口をみんなクーパースタイルに削り直してしまったことを今となっては残念に思います。

最近自分の行なっているチューニング作業についてあれこれと考える事があるのですが、

今回のように頭部管が持っている本来の性能を引き出すという基本的な作業が私にとっても楽器にとっても一番幸せなのではないか・・・と感じる次第です。

もっとも基本的な作りがしっかりしていないとそれも叶わないのですが・・・