Post date: Jan 15, 2014 4:23:10 AM
この時代のヘインズを見るのは初めてです。
リッププレートの形状も、歌口の穴の形を見ても製作者の情熱とか愛情といったものが一切感じられず、非常に無機質な印象です。
こんな事を言うと変に思われるかも知れませんが、形から伝わって来るモノって本当にあるのですよ!
音を出してみると、どうにも鳴らないと云うほどの状態ではありませんが、捕らえ所が無くて特殊な吹き方をしないとちゃんと吹けません。
中を覗いてみると、アンダーカットを取ってあるでもなく、かと言ってオールドタイプの形状とも異なる意図の解らない造りです。
ゴールド・ライザーの様ですが、これにも思うことがあります。
ちゃんとした作りが成されていない物の材質をいくら変えても意味がありません。
キチンと作った上で色々な材質を提供するのなら、まだ納得できるのですが・・・
依頼された方は、「どうしてこんな楽器を買ってしまったのだろう?」と後悔されているご様子で、どうにかなる物ならばどうにかして欲しいという
思いの様でした。
今回は耳なしのノーマル・チューンということで着手しました。
初め一通り手を入れて磨き上げ、吹いてみました。
多少の改善はできたものの、まだ納得の行くチューニングには至りませんでした。
さらに気になるバランスと形状を整えて、これ以上手を加える必要が無いと思われるところまで持っていきました。
それでも形は納得できるところまでは修正しきれませんでした。
これ以上手を加えると穴が大きくなり過ぎてしまいます。
『機能的に優れたものは見た目にも美しい!』 というのは絶対に正しいと信じているのですが・・・
音を出してみると、かなり改善された様です。
少なくとも特別な吹き方をしなくても正しい音程で気持ち良く演奏できるようになりました。
ただし、この中にヘインズの個性を見出すことは困難かもしれません・・・
一時期精彩を欠いていたヘインズ社も、近年パウエルから異動したエイブン女史によってかなり良い方向に変革していると聞きます。
あのパユを射止めたのですから!