03 歌口交換

Post date: Mar 8, 2018 1:45:18 PM

Pearl PF665E の頭部管の歌口を木製に交換したいというご依頼です。

現在は古いムラマツの頭部管と合わせて使用されていて、ほとんど使用されていないということでした。

頭部管を送っていただく前に交換する木製歌口の準備をすることにしました。

リグナムバイタと薩摩黄楊を用意したところ黄楊を選択されました。

送られて来た頭部管を見ると、歌口穴がかなり大きく吹いた感じもあまり良い状態ではありませんでした。

寸法を計測しただけでかなり穴が大きかったので、管の穴埋めをすることを前提に進めることにしました。

ハンダ付けもライザーのロウ付けも良好な状態でした。

今までは管の穴を塞ぐのに

2 先ず このような板を切り出して適当に成形し

3 2を型として管にケガイて穴を成形

という手順でしたが、これだと3の穴が大きくなる危険がありました。

今回は

① 最初に型となる物を用意(外周)

2 ①を使って2の板にケガイて切り出し成形

3 同じく①でケガイて3の穴を成形

という手順にしました。

両方共にケガキ線に沿って正確に削ることでほぼぴったりと合わせることができました。

ロウ付け後に余分な銀ロウを削って磨くとほとんど平らになりました。

内側も削ることなく磨いただけです。

用意しておいた黄楊製リップを管に接着後、管と穴を合わせて整えました。

磨き終えてこのあとオイルを塗って終了です。

完成しました。

汚れの目立つ木なので管の磨きに気を使います。

金属と変わらぬ吹き心地で木の柔らかさも感じられます。

コメント

☆『本日、本体と組み合わせて吹いてみました。木の音です!

歌口だけで、こんなに音色が変わるとは驚きです。

期待を大きく上回ります。大満足です。

吹き始めてから最初の1時間30分くらいの間は、特性が変わり続けたように感じました。

奏者側は、新しい歌口の様子をつかむのに試行錯誤しますが、楽器側も変化し続けているように感じます。

木は生きているし、接着なので完全に固形化するまで、もう少し時間がかかるためでしょうか。

しばらくは、様子を見ながら慎重に使いたいと思います。

吹きやすさ

とても吹 きやすいです。

いつまでも吹いていたいと思わせられます。

高村さまの歌口研究の賜物と思います。

お気に入りだった頭部管が色褪せて感じます(チョット悲しい)。

気軽に、木の音を楽しむのに木製歌口はぴったりですね。

別の種類の木製歌口も試してみたいなどと妄想します。

(人の欲望は果てしなし、自分のことながら呆れます。)』

2018/3/11 (#03) 広島県S.M. 様