Post date: Feb 26, 2014 6:56:27 AM
今回のご依頼は、1995年に胴体のヘインズに合わせてフルートマスターズに特注されたという t 0.4mm の金の頭部管です。
胴体は、1980年に購入されたヘインズのレギュラー総銀です。
顎関節症になってしまい治療を続けながらアンブシュアーを改造して吹きつづけているものの、日によって鳴り方が変わってしまう印象が強く、もしも頭部管の Tuning によって改善できるならば・・・というのがご依頼の主旨でした。
吹いてみると、かなり音程をとるのが難しくコントロールし辛い印象でした。
自分の楽器に挿して吹いているうちに、ある程度鳴らすポイントは掴めたのですが、それでも窮屈で非常に制約を受ける印象は拭えませんでした。
おそらくコンディションによって印象が大きく変わるのはこの為だと思われます。
作りは穴の形が少し角張って見える以外は殆ど丁寧で綺麗にできています。
内部もパッと見には問題なく見えるのですが、削っていると面の歪みやら左右のバランスの違いやらが気になります。
今回はスコティッシュへのご希望でしたのでそのまま作業を続けました。
ついでにライザーと管の部分(表)のハンダが気になったので処理してしまいました。
性なんでしょうね・・・
完成して吹いてみると・・・とても良い状態になりました!
最初に感じた音程のとり難さも解消されコントロールが楽になりました。
この頭部管は重量バランス的には重いのですが、音色はとてもこのヘインズに合っていると感じました。
マスターズの頭部管は作りは良いのに鳴りはもう少し・・という物が多い様な気がしますが、 Tuning を施すととても良い状態になるので好きなメーカーのひとつです。
ひとつ気になるのは、古いヘインズであるので全体のピッチが低めで私の感覚ではギリギリの感じです。
まあ、ドイツのオケにでも入らない限り大丈夫でしょうが・・・
お客様にも同様の印象を持っていただく事が出来、いつでも変わらず良い状態で吹ける様になって頂ければ嬉しいのですが・・・
コメント
☆『本日届きました。 ありがとうございました。
早速2時間程吹かせていただきました。
まず、音程がかなり良くなっていることに感激。
低音はかなり低くなり、高音は高くなる、という楽器だったのですが、かなり高くなるEの音が高くならないのです!!! そして低音もそれほどぶら下がりません。
これにはびっくりです。
音程が悪いはずっと胴体が原因だと思っていたのですが、 頭部管だけで変わるとは、本当に驚きです。
音のつながりもスムーズで、とても軽くて明るい音になりました。
軽いのに、音の深みはきちんと残っています。
コントロールがとても楽で、吹いていても疲れません。
吹奏感が本当にいいですね。
楽に吹けるので、下品な音が出てしまわないかと不安でしたが、 音が出過ぎることはなく、輪郭ははっきりし、またppも綺麗にできました。
今まで常に音程を考えながら吹いていたのが嘘のよう。
オケのソロ部分も、簡単に吹けます。
「今までの苦労は一体何?」という思いでいっぱいです(笑)。
後は、オケやアンサンブルの中でどのような感じで響いてくれるのか、 いろいろ試していきたいと思います。
ただ、今までは、「このアンブシュアで今日は良く鳴った」と思っても、 翌日にはもうそのアンブシュアだと鳴ってくれなかったり、と あの手この手で吹いてきた楽器なので、 今日吹いた感じが素晴らしくても、明日はどうなのか、とそのあたりで少し不安が残ります。
明日また吹いてみてメール致します。
本当に本当にありがとうございました。 』
(後日)
『tuning後、結構どのアンブシュアでも鳴ってくれます(笑)。
すごいですね。
昨日、長時間吹いても顎が疲れず、 音程も安定し、レとド♯のつながりも自然で、よく鳴ってコントロールしやすいアンブシュアを見付けました。
大体、その日は良くても、翌日はちょっと、というのが多かったのですが、 今回のは昨日も今日もバッチリです。
当分これで頑張ってみようと思います。
すごく楽なので、息もよく続きます(笑)。
演奏寿命が少し伸びた気がします。
本当にありがとうございました。
また周りの友達にも紹介したいと思います。
今後共どうぞよろしくお願い致します。』
2014/02/27 (#08) 静岡県H. N. 様