16 ムラマツ DN #209**
Post date: May 11, 2014 2:05:19 AM
今回は1980年頃のムラマツDNモデルの頭部管です。
ご依頼の主旨は
楽器に文句を言えるほどの腕前ではありませんが、
いくつかのメーカーの新しい楽器を試奏すると、どれも吹きやすく
なっているなと思います。
古い楽器ですが愛着があり、良いものだと思いますので、少しでも
吹奏感が向上すればありがたいです。
という事でした。
早速音を出してみましたが、それ程悪くは無い状態だと思いました。
しかしながら、確かに最近の楽器とは傾向を異にする鳴りではあります。
一番気になるのは右手中音の抜けの悪さでした。
その辺を改善してより鳴らし易い方向にできればと感じました。
目で見た形状的問題については特に気になる部分はありませんでした。
ただ、当時の歌口としては大きめの穴のサイズで壁の角度も下に向かってかなり広がっている状態です。
台座の高さも結構高めの様です。
これを現代的なカットにしてしまうと、より大きな穴の傾向になってしまう恐れがあるので、先ずは最小限に手を入れて確認することにしました。
概ね作りは良い状態なのですが、僅かに気になる部分を修正しつつ仕上げました。
この状態であまり改善が見られない様でしたらスコティッシュにするつもりだったのですが、吹いてみるとその必要は無さそうでした。
中音域の鳴らし辛さも解消され、全体に吹き易くなり低音も鳴るようになりました。
翌日さらに吹き込んで確認し、問題が無かったので完成といたしました。
コメント
☆『さっそく吹いてみたところ、全般的に反応が良くなっています。
今まで、少し内吹きのセッティングにしていましたが、標準的なセッティングに近づけた方が良く鳴るようです。
フルートは、20代までは特に問題なく吹けていましたが、30代になって急に鳴らなくなりました。
恐らくコーディネーションが乱れて、アパチュアのフォーカスができなくなったのだと思います。
それ以来、試行錯誤という感じできていますが、今回、チューニングしていただいて楽器側の問題はなくなりましたので、
あとは人間側の問題と認識して練習していきたいと思います。』
『フルートの方は昨日、ちょっと吹いた感じでは中音域が少し鳴らしにくいかなと思いましたが、今日、1時間ほど吹いていると三音域ともムラなく鳴るようになりました。
息のコーディネーションが取れてきたものと思います。
私のレベルでは、これで特に不満はありません。
真面目にフルートに取り組んでおられる方からすると私のような楽器への接し方は怒られるかもしれませんが残り少なくなってきている楽器人生で、フルートの占める割合は多くなると思います。
フルートに関しては、私が理想としているのは、ペーター・ルーカス・グラーフさんですが、彼のバッハのソナタ集をお手本に練習したいと思います。
インターネットのおかげで、T-Tuningを知り実際にお世話になってラッキーでした。
SF化も面白いアイデアだと思います。
息のフォーカスがしっかりしている人には、あまり必要はないのかもしれませんが、少しの加工で大きく変化するのには驚きました。』
2014/05/11 (#16) 京都府 K.N. 様