Post date: Jun 25, 2014 5:26:02 AM
今回は写真が添付されてメールが届きました。
昨年、入手したパウエルの頭部管(14K)ですが、写真のように歌口の削りがひどい状態です。
現在、マテキの胴体に付けて演奏しておりますが、マテキに比較して音程は取れるものの抜けが悪く、
せっかく購入したのに(胴体とぴったり合ったことと、名門パウエルの名前に惹かれた)メインに使うにはもの足りなさを感じております。
添付した写真をご覧のうえ、対策の見通しと今後の対応についてご連絡いただけたらと思います。
確かにこの状態で流通して店頭に並ぶ事自体が不思議なくらいです。
これだけ形に問題があれば確実に改善する事は可能だと考えお引き受けしました。
実際に吹いてみると、見た目から予想した程ひどい状態ではなく、この楽器を選んで購入されても仕方がないと思いました。
ただし、かなり外側にして吹かないと左手がぶら下がる状態ではありました。
アンダーカットは控えめで、驚く様なひどい状態ではありませんでした。
とにかく歌口の形が歪んでいる状態に、無理やりアンダーカットとオーバーカットを繋いだ結果がこの有り様なのでしょう。
早速穴の形を修正することにしました。
計測してみると大きさも角度もほぼ目指す理想の状態には近く、うまく持って行ければ良い状態にできそうです。
ライザー正面の壁の角度がちょっと違う事と、右上がりに斜めの状態が難関でしたが、大きくなり過ぎない様慎重に作業を進めました。
何とかすっきりした形になりました。
吹いた感じも納得の行く状態になりました。
コメント
☆『期待通り、チューニング前の抜けの悪さがなくなり、息がスムーズに入るようになりました。
かといって入りすぎることもなく、適度な抵抗感は保ちつつ引っかかるようなところもない、
派手すぎず、地味すぎず、低音から高音まで均質な、大変にバランスの良い状態に仕上げていただきました。
私の弱点である、高音域の音程の上ずりが改善されることも嬉しいことです。
直接お話しでき、その後のメールのやりとりから私の望む方向をお汲み取りいただき
このように満足のいく仕上がりをいただけたことは大変にラッキーなことです。』
2014/06/25 (#19) 埼玉県 T.I. 樣