Post date: Dec 16, 2014 1:03:45 PM
少し前に Tuning をさせていただいたお客様から、今度はお孫さんの楽器の Tuning のご用命を承りました。
最近になってフルートを始めたいという事でヤマハの楽器を購入されたそうなのですが、余りに問題があるのでこれでは上達し難いだろうと心配され、頭部管の調整で何とかならないだろうかというご相談でした。
早速送っていただいた楽器を吹いてみると、高音を開き気味で吹き飛ばさないと正しい音程が取れない状態です。
こういう吹き方が身に付いてしまうと刺激的で雑な音しか出せなくなる危険があります。
ただ、今まで手掛けた事のあるヤマハの頭部管とは違う感触でした。
カタログではCYタイプとなっており
『どなたにも楽しんでいただけるコントロールのしやすい頭部管です。心地よい吹奏感と明るく豊かな響きが特長です。』
と表記されています。
中の造りを見てみると、良くあるきついギザギザの傷はあまり無く、その影響は少なそうでした。
何が原因か・・・計測してみると
ライザーの壁の角度は普通は下に向かって少しずつ広がっているのですがすべてほぼ垂直の状態でした。
むしろ広がり過ぎの歌口が多い中で珍しい状態です。
これなら上の形を触らずに理想的な角度に合わせることができます。
メッキが掛かっているので、その点でもあまり目立たなく都合良く調整ができます。
全部の角度をほぼ狙い通りの角度に合わせ、アンダーカットも少しだけ広げました。
これで満足の行く状態になりました。
低価格の機種とは言え、この位の品質であれば十分に使える楽器になると思います。
フルートを始める人が最初に手にする価格帯の楽器だからこそ、なるべく良い状態で提供したいものです。
初期状態では上手な演奏家を育てるのには良くない影響をもたらす気がします。
折角良い形の歌口なのですから勿体無い気がします。
今回の Tuning で私が狙っている歌口の形状に近づける事で良い状態にできる事を確認できた気がします。