Post date: Sep 11, 2017 9:46:00 AM
今回は以前サンキョウの木管頭部管をチューニングしたお客様からのご依頼です。
ヤマハの911(廃番)を使っています。
吹いていて、最近とても窮屈に感じるのです。
妙な抵抗感があるというか、息が通る幅が狭いというか、、、詰まった感じがします。
一言でいうと「歌口が狭い(小さい)」という感じです。
もちろん物理的な穴の大きさではなく、イメージです。
20年ほど前の楽器なので、最近のものと比較してはいけないのかもしませんが、、、最近の楽器は、非常に楽に、ストレスなく息が通る感じがします。
HPで、どなたかも言っていたヤマハのAタイプの頭部管や、ムラマツのツバサリップ、ナガハラなどを最近吹く機会がありましたが、どの楽器も、それぞれの楽器の個性はあれど、気持ち良く息が入りますが、それらに比べると自分の楽器は幾らか難しいように感じます。
あと、HP でよく書かれている「左手の云々、、、」というのも、疑っています。音程は気にならない(無意識に口で調整している気がします)のですが、一部の音で音色が若干暗くなるように感じます(Gis辺り)。
ということで、送っていただいた頭部管を吹いてみました。
第一印象ではそれほど問題を感じませんでした。
ちょっと吹きづらいタイプのありがちな頭部管といった感じでしたが、更に色々と吹いていくうちに問題を感じるようになりました。
息を吹き込んで行くと頭打ちになって音がひっくり返る感じになります。
音程についても問題の指針となる左手に問題がありますし、中音 A から上の D への音程も狭くなります。
通常でも3オクターヴの D は低くなる傾向はあるものの、かなり顕著に感じます。
中を見てみると大変綺麗な形で、ほんの僅かに気になる部分はあるものの、特に問題はない状態です。
ただ、カット自体が非常に中途半端な形状で、何処を狙っているのかが分からない印象です。
古いタイプではなく、クーパーカットを意識しているようですが、非常に控えめで効果が表れていない感じです。
それでも良く観察すると僅かな問題点も見つかりました。
コーナー付近の管との境目の形が少し崩れています。
この部分を修正してアンダーカットをもう少し取れば、最近の頭部管に近い吹奏感が得られそうです。
この状態で吹いてみると、吹き難さは感じられなくなり、非常に抜けの良い明るい音になりました。
問題の改善としてはこれで完了で良いのではないかと思いました。
ただ、胴部管との相性なのか自分の調子なのか分かりませんが、もう少し重厚さというか力強い響きも欲しい気がしました。
前回のムラマツ9K の音の印象もまだ記憶に新しいので、比較して物足りなく感じたのかもしれません。
翌日改めて細部を観察すると、まだ気になる部分が確認できたので手を入れることにしました。
前にも書いたと思いますが、「こういう音の場合は此処をこうすれば・・」といった技術は持ち合わせていませんので、ひたすらあるべき形をイメージして形づくるのみです。
どの様に変化したか多少の不安がありましたが・・・
全域に倍音が乗るようになり、よりしっかりした響きになったようです。
じっくり見直すことはこれからも必要ですね。