25 Brannen 頭部管

Post date: Nov 11, 2017 9:37:56 AM

ブランネンの14K ライザー付銀製頭部管です。

・オクターブ跳躍やレガートはきまりやすく、最高音域の発音もしやすい(ハイDも楽に出ます)

・広い音域にわたって、音色の均質性はよく保たれる

・しかし全体に音が細く、いつもつまったような感じがして、特に中音域の音が抜けていかない

・全体にダイミクスのニュアンスをつけられる幅が狭い。

音量がほしいときには音色を犠牲にして吹かなければならなくなる

・最低音域の Es より下がぶら下がりやすく、特にD以下はコントロールが難しい

・音域によるポイントの違いがかなりあるようで、長く吹いていると疲れを感じやすい

ということでしたが、実際に吹いてみるとほぼご説明通りの状態でした。

印象としてはもっと困った状態で、全体につまった音の印象です。

中音域は息を十分に流すことができず、吹き込むと裏返ってしまいます。

ちょうど調整に来ていたヤマハの211の方がよっぽど良い感じでした。

(というよりもヤマハの211の頭部管は良い作りですし、楽器としても十分に使えるものだと思います。)

裏には Elizabeth Watson 氏のイニシャルが刻まれています。

管とライザーのハンダ付け部分に幅広くハンダが残っています。

反対側から見ると波打ったような状態に見えます。

アンダーカットのコーナー(丸を描いた部分)に変形が見られます。

こちらもなんとなく歪んでいます。

これらを修正すべく手を入れて行くと、四隅の面のつながりに問題を感じました。

これは手を入れた後の画像ですが、上の画像と殆ど変わりません。

アンダーカットの一番奥の管を削ってある部分にナイフもヤスリも届かず、そのまま残っています。

後ほど管の内側を磨いて修正できました。

反対側は綺麗な形になりました。

ハンダ面も綺麗になりました。

仕上げて吹いてみると、全く問題を感じなくなりました。

制約を感じることなく、いろいろな表現ができるようになったと思います。

コメント

☆『オリジナル、シェリダンそれぞれの音色や響きの個性が、いっそう際立つようになったと感じています。

また、どちらも音の輪郭がよりはっきりとして、密度の高い響きになりました。

適度な抵抗感とともに、息がとても入りやすくなりました。

特にオリジナルは、先日お伝えしたような数々の事柄がまったく気にならなくなり、大きな音程の跳躍やレガートもたいへん楽になりました。

中音域で音がひっくりかえることもありません。 ポイントが決まりやすく、しかもムラがありません。

響きや音色の幅が、大きく広がった感じがします。

シェリダンはもともとパワフルな頭部管でしたが、音量はあるものの、ご指摘のように薄っぺらい感じがする部分もありました。

いま吹いてみますと、ニュアンスがつけやすく、品位のある音になったように思います。

また、タンギングの際に気になっていたシャーというノイズがほとんど無くなりました。

おそらく、オケの中で以前よりもしっかりと響くであろうと推測します。いずれ録音で検証したいです。

オリジナルは、シェリダンに差し替えて以来まったく出番がなかったのですが、これからは、両者の個性を楽しみながら使い続けたいと思います。

どちらも素晴らしい状態に仕上げていただき、感謝申し上げます。

ありがとうございます。』

2017/11/16 (#25 & #26) 岩手県 J.N. 様