29 Pearl 14K forte 頭部管

Post date: Dec 22, 2017 8:25:33 AM

今回ご依頼の内容は

・この歌口の気になっている所はまず見た目なのですがショルダーカットの断面がナイフで削った後の名残りの様な微妙に凸凹となっている箇所があり所々いわゆるスというものがあるように見えます。

・エッジには傷はないのですがショルダーカットの縁に所々傷があるのが気になっています。

反射板に磨き傷のような筋があるのも気になります。

・ジョイントの角を軽くぶつけた事があり歪みが出ていないか気になっています。

・購入当初から刻印辺りに浅い凹みがあります。

・音色は大きな音が出て反応も良い方だと思うのですがポイントを外すとどこか詰まったような音になったり逆に2オクターブ目の音がシャーリングの多いガサツな音になりpでの発音が難しくなります。歌口が大きいせいか息が入りすぎてブレスがきつく感じる時もあります。

・1オクターブ目のGやGis、3オクターブ目のDやEsが低くピッチコントロールがやや難しいです。

ピッチコントロールの面ではサブで使ってるパウエルのシグネチャーの方がまだ吹きやすいです。

・まとまりの良い効率よく響く歯切れの良い音にしていただけたら幸いです。

ということです。

吹いてみると全体に芯のない平坦な音の印象でした。

音程の問題も感じます。

前回のバーカートにも少し似た傾向を感じました。

中を見ると以前扱ったものと同様の作りでした。

その時の記事では画像を載せてありませんが、アンダーカットが同様ですので音作りの狙いで形作られているようです。

この画像の上が手前の下、下がエッジ側の下を裏から見た画像です。

さらに角度を変えるとこの様に見えます。

先程「音作りの狙いで・・」と述べましたが、あくまでもたまたまこの様になってしまった訳ではないという意味です。

私も以前にアンダーカットの位置を前や後ろにずらしたり、挙句の果てに「Wアンダーカット」と称して左右二つずつの谷を形成してみたこともあります。

どれも良い効果をもたらすことは無く、センターに綺麗に形作るのが一番だと分かりました。

手前のライザー面はこの様になっています。

この状態を完璧に修正するのは不可能ですし、あまり手を加えると穴が大きくなってしまいます。

悪い影響を与えない程度に慎重に修正を行いました。

手を入れるとライザー面が凸凹でかなり歪んでいます。

大きくならない様に少しずつ・・面を整えるのはかなり根気が要りました。

こちらは正面の下側。

だいぶすっきりしました。

こちらが手前の下側ですが、これ以上は難しい様です。

全体としては何とかまともな形になりました。

元の状態では音が広がって薄く感じる印象でしたが、しっかりとまとまり反応も良くなったと感じます。

弱奏でも響きを保ってコントロールできるようになったと思います。

リッププレートの全面が折れ曲がったような形状のせいなのか、特殊な倍音を感じますがとても明るい音の印象です。

さらにパワフルになった印象ですが、表現の幅は広がったと思います。

コメント

☆『まずフルートですが外観、音色ともに見違える様に改善されていて思わずため息が出てしまいました。

手前側のライザー壁面のザラザラも十分すぎるくらい綺麗になっていて驚いてます。

1オクターブ目のGis、Gと2オクターブ目Esの詰まり感がなくなり気持ちよく鳴らせる上に音質が全体的にゴールドらしくきめ細やかに変化していて本当に自分の楽器?と疑ってしまうほどです。

独特のスカスカしたシャーリングの癖がなくなったので表情付けの幅が広がったと感じています。

素直に音が響くのでピッチコントロールもしやすいです。

2017/12/25 (#29, #30) 長崎県 G.N. 様