Post date: Nov 13, 2017 1:08:55 PM
前回のブランネンと一緒に送られて来た頭部管です。
本番を前にしてあのオリジナルの頭部管では不安を感じたために、急遽このシェリダンを使われたそうです。
比較すればこちらの方が良いものの、多少問題も感じられるということで一緒に見ることになりました。
確かに音程等の機能的な問題はあまり感じないのですが、全体に芯の無い薄っぺらな音の印象でした。
その後チューニングを終えたブランネンと比較すると、最初の印象とは逆転してかなりこちらの方が問題を感じる様になりました。
かつてのパユと同じ組み合わせですが、さすがにこの頭部管ではあのような演奏をすることは難しいと思われます。
前方のコーナーが角ばった変わった形状です。
私も以前、エッジの有効長を増やすために同様の形状の歌口を試した事があります。
もしかすると同じような狙いがあったのかもしれません。
以前扱ったシェリダンとは形状は異なりますが、ショルダーやアンダーカットが丸くなく平面で切り取られた様になっているところは一緒です。
中の形も前後(画像では左右)でかなり違っています。
矢印で示したコーナーの面のつながりが気になります。
ライザー正面の細かい傷も気になります。
音の傾向は特殊な形状に因るところが大きいのでしょうが、これらの部分を修正する事で変化は期待できそうです。
細かいキズは無くなりました。
できるだけ角張った部分を無くして丸くしました。
形状に因る特徴はあるものの、元の状態よりは表現力がUPした感じです。
ブランネンとの比較の印象もまた変わり、長く吹いているとこのシェリダンの方が面白く感じられる様になりました。
基本的な問題が解消されることにより、初めてそれぞれの個性を感じて楽しめるようになったと思います。
コメント
☆『オリジナル、シェリダンそれぞれの音色や響きの個性が、いっそう際立つようになったと感じています。
また、どちらも音の輪郭がよりはっきりとして、密度の高い響きになりました。
適度な抵抗感とともに、息がとても入りやすくなりました。
特にオリジナルは、先日お伝えしたような数々の事柄がまったく気にならなくなり、大きな音程の跳躍やレガートもたいへん楽になりました。
中音域で音がひっくりかえることもありません。 ポイントが決まりやすく、しかもムラがありません。
響きや音色の幅が、大きく広がった感じがします。
シェリダンはもともとパワフルな頭部管でしたが、音量はあるものの、ご指摘のように薄っぺらい感じがする部分もありました。
いま吹いてみますと、ニュアンスがつけやすく、品位のある音になったように思います。
また、タンギングの際に気になっていたシャーというノイズがほとんど無くなりました。
おそらく、オケの中で以前よりもしっかりと響くであろうと推測します。いずれ録音で検証したいです。
オリジナルは、シェリダンに差し替えて以来まったく出番がなかったのですが、これからは、両者の個性を楽しみながら使い続けたいと思います。
どちらも素晴らしい状態に仕上げていただき、感謝申し上げます。
ありがとうございます。』
2017/11/16 (#25 & #26) 岩手県 J.N. 様